気候変動による猛暑の増加に伴い,稲の高温登熟障害対策は重要度を増している.可能な対策の一つに水管理が挙げられるが,穂の温度を直接低下させる灌漑手法は検討されていない.本研究では出穂後にスプリンクラーを用いて灌漑を行い,水量,回数,時間帯について効果を検証した.
灌漑時間帯を朝,昼,夕に設定したところ,夕方の灌漑が穂周辺の温度を最も低下させられることを示した.次に,灌漑時間帯を夕方に設定し,灌水量を3段階に分けて灌漑を実施したところ,いずれも対照区と比較して温度が低下したが,水量による差は見られなかった.灌漑の回数を3段階に分けて実施したところ,1回に灌漑を行う場合が最も温度が低下した.
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