研究課題/領域番号 |
26660196
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
赤林 伸一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70192458)
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研究分担者 |
坂口 淳 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (90300079)
中野 和弘 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70188994)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 完全人工光型植物工場 / 省エネ型栽培設備 / 省エネルギー / ランニングコスト / 数値流体解析 / 換気効率 / 空調制御システム |
研究実績の概要 |
平成26年度は、まず、数値流体解析(CFD)により空調・光制御・ダクト型植物栽培設備の最適化設計を行った。最適化設計は栽培設備の給気開口位置、給気開口数、排気開口位置をパラメトリックに変化させて植物周囲の風速分布、トレーサーガス濃度分布の解析を行い、栽培設備内の換気効率の検討を行った。その結果、給気口を天井面に4箇所、排気口を側面に1箇所設けた換気方式が最も効率よく植物周囲の空気環境の制御が可能なため、この方式を省エネ型栽培設備に採用した。 続いて、コンテナ式植物工場を実験室内に製作し、内部に省エネ型植物栽培設備(赤青LED仕様)と従来型栽培設備(蛍光灯仕様)を作成した。両栽培設備を用いて実際にリーフレタスの栽培実験を行い、コンテナ全体のエネルギー(電力)消費量、収穫重量、生育日数を比較を行った。今年度は冬季における栽培実験を行った。栽培期間の総電力消費量は、従来型栽培設備:457kWh ,省エネ型栽培設備:363kWhとなり、省エネ型栽培設備の方が94kWh(約21%)少ない。但し、冬季ではどちらの栽培設備でも空調用電力消費量が極めて少ない結果となった。これは冬季では、室内発熱とコンテナの貫流熱量の収支がほぼ一致したためと考えられる。今後は季節毎に実験を行う予定である。単位照明用電力消費量当たりの収穫重量は、従来型栽培設備:33.3g/kWh、省エネ型栽培設備:61.8g/kWhであり、省エネ型栽培設備の方が28.5g/kWh(約1.9倍)多い。空調等を含めた単位電力消費量当たりの収穫重量も、従来型栽培設備:29.4g/kWh、省エネ型栽培設備:50.8g/kWhであり、省エネ型栽培設備の方が21.4g/kWh(約1.7倍)多い。今回開発した省エネ型栽培設備を用いることにより、従来の栽培設備と比較して少ない電力消費量で同等以上の収穫重量を得ることが可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は最適化設計による省エネ型栽培設備の開発とコンテナ式植物工場を実作し、開発した省エネ型栽培設備と従来型栽培設備による植物栽培実験を行い、冬季における植物工場全体のエネルギー(電力)消費量の計測を行った。現在は、省エネ型栽培設備において赤青LEDの点灯個数を制御する栽培実験を遂行しており、最も効率よく植物栽培を行うことが可能な栽培方法を検討中である。現在までの達成度は研究計画通りであり、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は春季、夏季、秋季の実験を行い、省エネ型栽培設備によるコンテナ式植物工場全体のエネルギー(電力)消費量の削減効果の評価を行う。平成26年度に引き続いて、赤青LED光源の点灯個数制御の検討を行い、更なる省エネ型栽培設備及び栽培方法の検討を行う。 又、二酸化炭素の濃度設定を現状の約2000ppmから約5000ppmに引き上げ、植物の光合成を活性化させて生育期間の短縮を図ることで、収穫までの栽培用エネルギー(電力)消費量を減少させる栽培方法の検討も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、屋外に製作、設置予定であったコンテナ式植物工場を実験室内に製作し設置した。そのため、コンテナの防水仕様材料及びコンテナ製作費を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定している春季、夏季、秋季の栽培実験に用いる水耕栽培溶液の肥料費、栽培植物の種苗費、高濃度二酸化炭素環境での栽培実験に用いる二酸化炭素ボンベ購入費及び当該研究成果を発表するための学会参加費及び旅費として使用する予定である。
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