• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

ウィンドウサイズ自動調整型サポートベクターマシンによる高精度な微気象データ予測

研究課題

研究課題/領域番号 26660198
研究機関静岡大学

研究代表者

峰野 博史  静岡大学, 情報学研究科, 准教授 (40359740)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード農業気象・微気象 / 時系列データ予測
研究実績の概要

規則変動のある時系列データに対して,適切な学習データ量を自動的に抽出し予測精度が向上するよう自動的に予測モデルを構築し続けることのできる機械学習アルゴリズムSW-SVR (Sliding Window-based Support Vector Regression)の設計と研究開発を進めた.SW-SVRは母集団の中から予測対象データに対して適切なデータのみを選択してモデルを構築し,時間変化によってデータの特性が変化し学習器の予測誤差が閾値を上回った場合に再構築を行うというシンプルなSVR拡張アルゴリズムである. SW-SVRを利用することで,大規模なデータを用いた汎用モデルを作らなくても,対象データに適した部分データの利用と定期的なモデルの再構築によって,短時間で高精度な時系列データ予測が可能となる.初年度は,気象庁の公開する札幌,東京,浜松,那覇の特性の異なる4地域のAMeDASデータ3年分を用いて,学習データの特性や学習データ量に対し,どのように予測精度に変化が現れるか基礎評価を行った.学習データの探索に必要なウィンドウサイズの取り方は様々であるが,どのように学習データの部分集合を抽出するか多種多様な方法が考えられる.例えば,過去何件分のデータを利用することが適切であるかを探索するアルゴリズムの場合,季節の変わり目等の予測対象データと直近のデータが異なる特性を持っているタイミングでは,適切な学習データ量を選択できない可能性がある.一方,季節や時間帯でウィンドウサイズを設定する場合,地域や年次によって季節変動のタイミングが異なるため,一意にウィンドウの分割幅を定めることができない.以上の特性分析を実施するとともに,データの特性やタイミングに関わらず常に対象データと類似した学習データを選択できる近傍データ収集法の検討と評価を進めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

SW-SVRの設計と研究開発を進め,国内外で積極的な対外発表を行った.気象庁の公開する札幌,東京,浜松,那覇の特性の異なる4地域のAMeDASデータ3年分を用いて,学習データの特性や学習データ量に対し,どのように予測精度に変化が現れるか基礎評価を行った結果,母集団と予測対象データと類似したデータのみを学習に使用するのが有効であることが分かった.そこで,母集団と予測対象データとの標準偏差を基準とした距離を元に,近傍データのみを用いて学習する近傍データ収集法 (SDC: Short-distance data Collection method)を研究開発し評価を進めた.近傍データ収集法は存在するセンサデータの中で最新のデータGを中心として,収集閾値rから作られる円の範囲に収まるデータを収集する.SDCを用いることで,Gに近傍したデータのみを母集団の中から収集でき,最新データに対してデータとの距離がどれだけ近いかを基準にデータを収集するため,データの特性やタイミングに関わらず対象データと類似したデータを収集できる.AMeDASのオープンデータを用いた評価の結果,従来SVRと比べて予測誤差を最大78%削減,モデル構築時間を最大57%削減できることを確認した.本アルゴリズムを用いることで時系列データの予測精度向上とモデル構築時間短縮を両立でき,様々な知的制御システム開発への適用が期待できると考える.

今後の研究の推進方策

SW-SVRを用いることで,農業従事者の経験や勘による制御の再現を可能とする施設園芸環境向け知的制御システムを実現する.現在の環境に特化した予測モデルの構築と,特性変化に応じたモデル再構築を自動的に繰り返す仕組みを新たに加え,静岡県農林技術研究所での施設園芸環境にて,農業従事者の経験や勘による制御を高精度かつリアルタイムに再現できることを実証する.

備考

峰野研究室ホームページ
http://www.minelab.jp/

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Analysis of Support Vector Regression Model for Micrometeorological Data Prediction2015

    • 著者名/発表者名
      Yuya Suzuki, Yukimasa Kaneda, Hiroshi Mineno
    • 雑誌名

      Computer Science and Information Technology

      巻: Vol.3, No.2 ページ: pp.37-48

    • DOI

      10.13189/csit.2015.030202

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] SW-SVRを用いた施設園芸環境向け知的制御システムの提案2015

    • 著者名/発表者名
      兼田千雅,井林宏文,鈴木雄也,黒田正博,大石直記,峰野博史
    • 学会等名
      情報処理学会第77回全国大会
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2015-03-17
  • [学会発表] SW-SVRを用いた施設園芸環境向け知的制御システムの評価2015

    • 著者名/発表者名
      兼田千雅, 井林宏文, 鈴木雄也, 黒田正博, 大石直記, 峰野博史
    • 学会等名
      情報処理学会第12回コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会
    • 発表場所
      壱岐文化ホール(長崎県壱岐市)
    • 年月日
      2015-01-26
  • [学会発表] SW-SVRを用いた施設園芸環境向け知的制御システムの開発2014

    • 著者名/発表者名
      兼田千雅, 井林宏文, 鈴木雄也, 黒田正博, 大石直記, 峰野博史
    • 学会等名
      情報学ワークショップ2014(WiNF2014)
    • 発表場所
      静岡大学浜松キャンパス(静岡県浜松市)
    • 年月日
      2014-11-29
  • [学会発表] 近傍データ収集法によるSW-SVRの改良2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木雄也,兼田千雅,峰野博史
    • 学会等名
      情報処理学会第73回モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会
    • 発表場所
      福岡大学(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2014-11-20
  • [学会発表] 環境データを高精度・高速に予測可能な機械学習システム2014

    • 著者名/発表者名
      峰野博史
    • 学会等名
      静岡大学との連携による新技術説明会
    • 発表場所
      JST東京本部別館ホール(東京都千代田区)
    • 年月日
      2014-11-07
    • 招待講演
  • [学会発表] Proposal to sliding window-based support vector regression2014

    • 著者名/発表者名
      Yuya Suzuki, Hirofumi Ibayashi, Yukimasa Kaneda, Hiroshi Mineno
    • 学会等名
      18th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems (KES2014)
    • 発表場所
      Gdynia Maritime University, Poland
    • 年月日
      2014-09-16
  • [学会発表] 高信頼無線センサ/アクチュエータネットワークを用いた知的制御システムの開発2014

    • 著者名/発表者名
      兼田千雅,町田樹,井林宏文,鈴木雄也,峰野博史
    • 学会等名
      日本生物環境工学会2014年大会
    • 発表場所
      明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区)
    • 年月日
      2014-09-10
  • [産業財産権] 予測システム、予測方法、および予測プログラム2014

    • 発明者名
      峰野博史、鈴木雄也、兼田千雅
    • 権利者名
      峰野博史、鈴木雄也、兼田千雅
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2014-234950
    • 出願年月日
      2014-11-19

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi