研究実績の概要 |
7つの酒造所が醸造した39銘柄の泡盛を供試した. このうち, 常圧蒸留法で蒸留された泡盛は27点, 減圧蒸留法によるものは6点, 古典的な常圧蒸留法である地釜法によるものは6点であった. また, 熟成期間が3年未満の新酒は16点, 3年以上の古酒は23点であった. これらの試料をアルコール濃度10%に希釈し、近赤外分光スペクトル、赤外分光スペクトルおよび蛍光指紋計測に供試した。得られた泡盛試料の分光データを詳細に解析した結果、蛍光指紋を用いた場合に新酒・古酒の識別が最も精度良く行えることがわかった。また、同一試料をSPME-GCxGC-TOFMS分析に供試して得られた約2000の成分ピークデータに対して多変量解析を適用し、熟成により変化する揮発性成分を探索した。その結果、熟成で増加することが知られているバニリンの前駆体である4-vinylguaiacolの他、熟成中に変化する6つの揮発性成分を同定することができた。さらに同定した成分の標準品を入手し、泡盛試料と同様のアルコール濃度10%に調整して蛍光指紋計測を行った。標準品と泡盛試料の蛍光ピーク位置は近接しており、泡盛熟成中の成分変化が蛍光指紋パターンの変化に反映されていることが示唆された。 同様の手法をナチュラルチーズの熟度推定に適用したところ、蛍光指紋を用いると熟成期間を精度良く推定できること、また脂質酸化物やメイラード化合物の変化が蛍光指紋に反映されていることが示唆された。
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