畜産由来温暖化ガスの削減に向け、ギンナン果肉の有用性について検討した。果肉のエタノール抽出物をルーメン液に添加し、閉鎖培養系と人工ルーメンにて発酵に対する影響を査定した。2大品種のうち、久寿は藤九郎よりもメタン削減効果が高く、添加量依存的にメタン生成を低減し、プロピオン酸増強をもたらした。これはアナカルド酸の含有率が高いことに由来した。ルーメン菌叢は劇的に変化し、メタンの基質となる水素やギ酸生成菌が減少し、プロピオン酸生成関連菌が増加した。乳牛の糞便に抽出物を添加培養しても同様にメタンを低減できたことから、ギンナン果肉はルーメンのみならず堆肥発酵調整剤としても利用できる可能性が示唆された。
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