研究課題/領域番号 |
26660214
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
塚原 隆充 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 研究員 (90562091)
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研究分担者 |
井上 亮 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (70443926)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腸発酵 / 未利用資源 / ブタ / 短鎖脂肪酸 |
研究実績の概要 |
大腸の腸内細菌が生産する短鎖脂肪酸(SCFA)は,生体のエネルギー源になる。ブタでは全代謝エネルギーの30-76%が SCFAで賄われているといわれているが,現在のブタ飼養標準は大腸発酵を考慮しておらず,ブタのポテンシャルを最大限活かせていない。本研究では,現飼料の穀物含有率を下げ,大腸発酵が期待できる未利用資源で補完する,新たな飼料設計開発の端緒とする検討を行う。 本年度は,①短鎖脂肪酸(酢酸,プロピオン酸又はn-酪酸)の大腸からの吸収をラットモデルを用いて検討した。SCFAの種類によって盲腸静脈血中のTmaxが変化しており,酢酸が他のSCFAよりも早く吸収される傾向にあった。一方で,それら3種を混合した場合は,プロピオン酸,n-酪酸も酢酸と同程度のTmax値を示した。また,特筆すべきこととして,ラットの個体によって吸収能は著しく異なっていることから,とくに粘膜面での腸内細菌構成の変化及び粘膜で発現しているSCFA受容体の発現が異なっている可能性を考え,吸収能との相関を取るべく対実験を行っているところである。 ②また,大腸発酵を促進させる未利用資源の探索を行った。ブタ大腸内容物を用いたバッチ培養系で副産物発酵能のスクリーニングを行った。その結果,ビートパルプ,茶粉末又は菜種粕が良好な大腸発酵促進効果を示したのに対し,ビール粕はコハク酸や乳酸が蓄積する異常発酵が起こっていた。以上の結果から,本年度は菜種粕,ビートパルプ又は茶粉末をブタへ投与して,インビボレベルでの大腸発酵促進効果を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予め計画書にて予定していた研究の中で,ラットモデルを用いたSCFA吸収等の研究については,個体差が大きいためn数を増やす追加実験を行っているため少し遅滞しているが,次年度上期に実施予定であった未利用資源インビトロ培養試験を先行して実施したため,研究全体としてはほぼ順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ラットモデルを用いたSCFA吸収能確認試験については,予想よりも個体差が大きかったため,その理由を探索すべく盲腸粘膜のSCFA受容体のmRNA発現及び次世代シーケンサを用いた腸内細菌構成確認を行う様に一部方針を転換する。 未利用資源を育成期仔豚へ給与するインビボ大腸発酵確認試験については,予定通り本年度実施する予定である。
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