研究課題/領域番号 |
26660217
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
麻生 久 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50241625)
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研究分担者 |
北澤 春樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10204885)
野地 智法 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10708001)
渡邊 康一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80261494)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳房炎 / 枯草菌 / プロバイオティクス / 血中樹状細胞 / 予防効果 / 磁気カラム精製法 / FACS / 泌乳牛 |
研究実績の概要 |
枯草菌飼料添加剤“イムノバイオティック飼料”給与が乳房炎を出産直後に毎年繰り返し発症するウシの乳房炎発症を予防することを見出した。その際、末梢血中免疫担当細胞の発現割合の解析を行い、非給与区の乳房炎発症した牛では出産直後から血中樹状細胞の割合が低値となり、枯草菌給与区の発症予防が確認されたウシでは血中樹状細胞が高い発現であることを世界で初めて発見した。よって、本研究は、粘膜免疫の調節機構において重要な役割を担う血中樹状細胞の発現動態とその機能を解析し、乳房炎発症制御機構との関連性を明らかにすることにより、ウシ乳房炎治療法開発への応用戦略を図ることを目的とする。 今年度の成果では、γδT細胞は、分娩後3ヵ月間の対照区と給与区を比較したところ、給与区の方が低い割合となった。CD8+CD25+細胞は、分娩後3ヵ月間で給与区の方が高い割合となった。WC1+CD25+細胞は、給与区では分娩1、9ヵ月後に対照区よりも高く、4ヵ月後で低い割合を示した。CD11c+CD172a+血中樹状細胞は、対照区では分娩前後に低い割合であったが、分娩3ヵ月後にかけて増加していたのに対し、給与区では期間を通して高い割合を維持し、大きな変動はなかった。乳房炎発症した牛では血中樹状細胞の割合が低値となり、発症予防が確認されたウシでは血中樹状細胞が高い発現であることを世界で初めて発見した。また、これまでは樹状細胞の精製割合が5%~10%程度であったが、この細胞集団を抗CD172a抗体による磁気カラム精製を試み、80%~90%までに精製することに成功し、機能解析が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、プロバイオティック飼料である枯草菌添加物の乳房炎発症予防効果を、健康な乳牛と乳房炎発症乳牛の血中樹状細胞の発現割合と機能解析を比較解析することにより、解明することを目的としている。それには、樹状細胞の精製度を出来る限り高くする必要があった。今年度の成果では、乳これまでは樹状細胞の精製割合が5%~10%程度であったが、この細胞集団を抗CD172a抗体による磁気カラム精製を試み、80%~90%までに精製することに成功し、今後の機能解析が可能となった。よって、研究は計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、乳これまでは樹状細胞の精製割合が5%~10%程度であったが、この細胞集団を抗CD172a抗体による磁気カラム精製を試み、80%~90%までに精製することに成功した。次年度は、精製した樹状細胞の細胞表面上に発現したT細胞の活性化に必要な種々の補助刺激分子「MHCクラスII, B7補助受容体(CD80, CD86), programmed cell death protein 1-ligand 1 (PDL1)」のFACS解析に加え、サイトカイン産生能はreal-time PCR解析で行う。同様に健常牛末梢血から精製したT細胞との共培養を行い、産生されたサイトカインをELISA法により測定する。そして、共培養後に再び磁気ビーズカラムを用いて精製したT細胞のサイトカイン発現をreal-time PCR解析し、健常牛および乳房炎発症牛の樹状細胞の分化誘導能を比較解析し、調節性T (Treg) 細胞の誘導を確認する。
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