研究課題
乳房炎はウシの疾病の中で最も発生率が多く、乳量の低下、抗生物質などの治療費、感染牛の廃用など経済的な損失は年間1000億円と推定されている。現在、乳房炎治療の多くが抗生剤を用いた治療を中心に行われており、乳房炎牛の生乳や食肉からメンシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出は世界的に多く報告され、食肉、牛乳を介して耐性菌がヒトに伝播していく可能性が大いに考えられる。よって、その防除は今日の獣医畜産領域において重大な課題であり、ウシ乳房炎の発症機構の解明とその治療法の開発が望まれている。我々は、枯草菌飼料添加剤“イムノバイオティック飼料”給与が毎年繰り返し発症するウシの乳房炎発症を予防することを見出し、血中樹状細胞の数的変動がその乳房炎発症に関連していることを世界で初めて発見した。樹状細胞は骨髄中の未熟な前駆細胞から分化し、抗原提示を行う免疫応答に必須な細胞である。非給与区の乳房炎発症した牛では出産直後から血中樹状細胞の割合が低値となり、枯草菌給与区の発症予防が確認されたウシでは血中樹状細胞が高い発現であることを世界で初めて発見した。本研究は、粘膜免疫の調節機構において重要な役割を担う血中樹状細胞の発現動態とその機能を解析し、乳房炎発症制御機構との関連性を明らかにすることを目的とする。乳牛では分娩後に免疫系が低下して乳房炎発症率が増加するが、枯草菌飼料添加剤給与は血中CD172a+CD11c+樹状細胞の割合を有意に増加させ、樹状細胞のT細胞を活性化する第一シグナルCD40陽性率を低下させずに維持し、T細胞を活性化する第二シグナルであるCD80を増加する傾向があることを発見した。よって、枯草菌飼料添加剤は、樹状細胞の活性維持および活性化することによって乳房炎発症予防効果を発現することが判明した。
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