研究課題
物理刺激をトリガーとした衛星細胞の活性化の抑制機構を解明するため、第1仮説である「活性化因子HGFのニトロ化」を検証した(研究計画1)。精製HGF標品(R&D Systems社製)にNO供与剤NOC7を添加(モル比1:50、37℃で30分間処理)しHGFがニトロ化されるかどうかを抗ニトロチロシン/ニトロトリプトファン抗体によるwestern blottingにより調べたところ、HGFのニトロ化を示す明瞭な反応が観察された。対照区であるNOC7無処理のHGFでは明瞭なバンドは検出されなかった。これらのことから、過剰量のNO産生化でHGFがニトロ化されることが明らかになった。また、強い物理刺激によって遊離したHGFのニトロ化(研究計画2)も同様に観察されたことからも、上記の「HGFのニトロ化」が実証された。
2: おおむね順調に進展している
初年度実施予定の研究計画1と2を遂行し、予想した通りの結果を得た。即ち、精製HGF標品を過剰なNO産生下に暴露するとニトロ化されること、また、強い物理刺激によって遊離したHGFも同様にニトロ化されることを明らかにすることができた。HGFがニトロ化されるとその生理活性が消失(あるいは減弱)するかどうかを調べることが次の大きな課題であり、これを次年度に実施する予定である。
HGFのニトロ化による活性変化および他の種々の細胞増殖因子のニトロ化・活性変化を調べる予定である。この研究により、HGFを含めた細胞増殖因子の働きが、それらの濃度変化や発現時期・場所によって制御されているというこれまでの定説の他に、細胞増殖因子のニトロ化という新しい制御モードを提起できると期待される。
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