研究課題/領域番号 |
26660219
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
牛田 一成 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50183017)
|
研究分担者 |
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00339285)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ライチョウ / 共生腸内細菌 / 下痢 / 生菌製剤 |
研究実績の概要 |
残雪期および新雪期の2回にわたり、立山町室堂平で野生ライチョウの新鮮糞便を採取した。飼育ライチョウの糞便は、横浜動物園内横浜市繁殖センターで飼養中のスバルーバルライチョウから採取した.それらから DNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いた腸内細菌網羅解析を実施した. さらに、ニワトリ血液寒天培地などを用いて、野生ライチョウ盲腸細菌の単離を試みた. 網羅解析の結果、野生ライチョウと飼育ライチョウでは、菌叢構成が大きく異なり、とくに野生ライチョウで卓越しているCoriobacteriaceae, Synergistaceaeに属する菌群が飼育によって失われていることが明らかとなった.飼育下では、ライチョウの細菌よりも、ニワトリ由来、ブタなど家畜由来、人に由来する可能性のある細菌が優勢であった。また野生ライチョウ新鮮糞便から、嫌気性細菌を分離する方法をほぼ確立したので、次年度は、26年度に確立した方法を中心にさらに発展させた方法で盲腸内細菌を分離する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である網羅解析によるライチョウ共生細菌の推測は、達成することができた.試料採取後の保存・輸送培地については、人用に開発されたものを準用した。これまで、ニホンザルでは成功していたが、ライチョウでは保存が芳しくなく、また接種する種々の培地も哺乳類用を中心に活用したが、ライチョウ特異的な細菌の分離には成功しなかった。そこでニワトリから血液を採取し、新鮮糞便を直接塗抹する方法を適用したところ、グラム陽性連鎖球菌を分離することに成功した。この段階で、試料採取現場が、冬期による閉鎖になり、次年度に再度種々の培養法を試みることとした.
|
今後の研究の推進方策 |
26年度の結果より、野生ライチョウ特異的な細菌群の分離には、貧栄養培地での集積やニワトリ血液寒天培地への直接塗抹で対応すれば、細菌の分離の効率が高くなると予想されたので、27年度前半は、立山ライチョウから有用菌の分離を試みるとともに、孵化後の飼育ライチョウに対する接種も試みる。
|