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2015 年度 実績報告書

野生ライチョウ由来の新規生菌剤開発:厳しい環境に対抗する野生生物の潜在能力活用

研究課題

研究課題/領域番号 26660219
研究機関京都府立大学

研究代表者

牛田 一成  京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50183017)

研究分担者 村田 浩一  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00339285)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードニホンライチョウ / 腸内細菌 / 毒物分解 / 保健効果
研究実績の概要

野生ニホンライチョウが摂取する食物には、毒性物質が多い。そのうち、シャクナゲに含まれる毒素を同定し、合成標品を用いた分解試験を実施した。シャクナゲ葉の粉末を基質とした嫌気性培地(PY)を作成し培地中に放出された成分をHPLC-MSおよび1H-NMRなどで同定したところ、これまでシャクナゲ由来毒物として報告のあるグラヤノトキシンは含まれておらず、一方、著量のロドデンドリンが検出された。ロドデンドリンのアグリコンであるロドデノールは、チロシナーゼの阻害活性のある化合物である。よこはま動物園で飼育されているスバールバルライチョウと、立山の野生ニホンライチョウより採取した盲腸糞をシャクナゲ添加培地に接種した。配糖体ロドデンドリンを分解し、ロドデノールを放出する反応は、いずれのライチョウからも高い効率で進行していたが、ロドデノール分解反応は、飼育下ライチョウの糞便細菌にはほとんど認められず、一方、野生ニホンライチョウの糞便細菌は、24時間以内に完全に分解することがわかった。
野生ニホンライチョウ糞から分離したLactobacillus plantarumやEscherichia coliを、ロドデノール標品を基質とするPY培地に接種したところ、L. plantarumの数株は、ロドデノールの分解能を持つことがわかったが、E.coliはほとんど分解できなかった。L. plantarumの分解活性は、野生ニホンライチョウの糞便細菌の示した高いロドデノール分解活性を必ずしも全て説明できるほど高くなかったため、26年度に実施した16S rRNAシーケンス網羅解析から示された優占種であるSynergistetes科など他種の細菌の関与をさらに検討する必要があると考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cecal bacterial communities in wild Japanese rock ptarmigans and captive Svalbard rock ptarmigans2016

    • 著者名/発表者名
      Kazunari USHIDA, Takahiro SEGAWA, Sayaka TSUCHIDA and Koichi MURATA
    • 雑誌名

      Journal of Veterinary Medical Science

      巻: 78 ページ: 251-257

    • DOI

      10.1292/jvms.15-0313

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 野生動物の腸内細菌研究の意義と展望2016

    • 著者名/発表者名
      牛田一成・土田さやか
    • 雑誌名

      ルーメン研究会報

      巻: 27 ページ: 23-29

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] ニホンライチョウ保護増殖に資する腸内細菌の研究2016

    • 著者名/発表者名
      牛田一成
    • 学会等名
      2016ライチョウ域外保全研究会
    • 発表場所
      富山市ファミリーパーク
    • 年月日
      2016-03-10 – 2016-03-11
  • [学会発表] 野生下のライチョウにおける腸内菌垂直伝播形式を反映した投与法ー採材手技の詳細2016

    • 著者名/発表者名
      土田さやか
    • 学会等名
      2016ライチョウ域外保全研究会
    • 発表場所
      富山市ファミリーパーク
    • 年月日
      2016-03-10 – 2016-03-11
  • [学会発表] 野生ニホンライチョウの腸内菌叢の特徴と飼育下スバールバルライチョウの腸内菌叢再構築の試み2015

    • 著者名/発表者名
      牛田一成
    • 学会等名
      第16回ライチョウ会議静岡大会
    • 発表場所
      しずぎん「ユーフォニア」
    • 年月日
      2015-10-24 – 2015-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工孵化ライチョウへの野生ライチョウ由来細菌の投与試験2015

    • 著者名/発表者名
      牛田一成
    • 学会等名
      2015ライチョウ域外保全研究会
    • 発表場所
      静岡市役所
    • 年月日
      2015-10-23
  • [学会発表] 野生由来腸内細菌接種の試みー死亡個体の死因究明に向けて2015

    • 著者名/発表者名
      土田さやか
    • 学会等名
      2015ライチョウ域外保全研究会
    • 発表場所
      静岡市役所
    • 年月日
      2015-10-23
  • [備考] 野生動物の腸内細菌研究

    • URL

      http://seika.kpu.ac.jp/~k_ushida/ushidaintro.html

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公開日: 2017-01-06  

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