研究課題/領域番号 |
26660224
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 尚明 東北大学, 大学病院, 助教 (70431567)
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研究分担者 |
董 宇鵬 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (10569320)
船本 聖絵 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術補佐員 (30570030)
伊藤 拓哉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70396539)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 薬理 / 胎児用薬品評価システム |
研究実績の概要 |
急性実験:Atropine投与実験 Atropineが自律神経機能発達途上の胎仔循環へ及ぼす影響を評価する目的で胎齢 13, 15, 18 日目にAtropine(0.02mg/kg)を母獣に投与した。いずれの胎齢でも母獣の心拍数、血圧の増加を認めたが、胎仔の心拍数、心電図波形への効果は観察されなかった。 Atropineはヒトでは胎盤通過性が確認されており、母体への投与で胎児心拍が増加することが知られているが、マウスにおいては母獣経由での循環器への影響は観察できなかった。これは胎盤通過性の差違、あるいは自律神経系機能の発生速度の差違などが原因と推定される。次年度以降、胎仔へのAtropine直接投与を実施し、胎盤通過性の検証を実施する。 急性実験:Magnesol投与実験 Atropineが胎齢にかかわらず胎仔の心拍数、心電図波形への効果が観察できなかったことから自律神経機能に関係ないCalcium拮抗剤であるMagnesol(500mg/kg)投与実験を追加した。この実験は胎齢 15, 18 日目に実施した。Magnesol投与では母獣からおよそ20分遅れて心拍数減少が観察された。一方でR波振幅低下などの波形変化は観察されなかった。心筋のCalcium受容体はL型とT型存在する。その内、T型は胎仔特異的である。次年度以降、T型受容体特的な拮抗剤やNatrium受容体拮抗剤などを投与し、心拍数と波形変化への影響を精査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定してた様な自律神経系による胎仔心拍数および心電図波形の調節は観察できなかった。しかし、Calcium受容体による心拍数調整が波形変化とは独立していることが判明した。Atropineの胎盤通過性の検証やCalcium受容体による心拍数調整と波形変化の同時比較によって得られた知見は胎仔心電計以外では観察できない項目で有り、胎仔を対象にした薬物の安全性・有効性試験システム開発としてはおおむね順調に進展していると理解している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、急性実験を継続する。次年度以降、胎仔へのAtropine直接投与やT型受容体特的な拮抗剤やNatrium受容体拮抗剤などの投与実験を実施し、自律神経系や各受容体による心拍数や波形の調整機能を精査する。 急性実験と同時に、慢性実験として薬剤投与による胎仔心臓分化への影響を生理学的側面と分子生物学的側面で同時に解析する。投与薬物として所属研究室で使用実績があるvitamin Aを1500-4000IU母獣へ投与する。生理学的解析は心電図と超音波で電気的、形態および拍出能を評価する。分子背定理学的にはmRNA発現評価をPCRにて実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成27年度請求額と合わせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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