研究実績の概要 |
本研究は犬の炎症性腸疾患に対しラパマイシン(シクロリムス)を投与することにより、(1) 犬炎症性腸疾患におけるラパマイシンの新規治療薬としての有用性、(2) 犬炎症性腸疾患の病態におけるTregおよびTh17の関与、についての検討を行うものである。本年度はラパマイシンを用いた犬リンパ球のin vitroにおけるTregの選択的誘導効果を検証した。 ○Tregの検出方法の検討 フローサイトメトリーを用いてCD4, CD25, FoxP3の多重染色を行い、Treg数の増減を検討する条件を設定した。 ○犬リンパ球のin vitroにおける選択的誘導 犬PBMCをConA, IL-2, ラパマイシン存在下および非存在下で培養し、上述の検出方法によりTreg数の増減を検討した。Tregの割合はConA、IL-2、ラパマイシンいずれの存在下においても増加した。さらにConA, IL-2, ラパマイシンすべてを同時に作用させたところその作用は強まり、Tregの割合は大きく増加した。一方、ConA, IL-2, ラパマイシン存在下で培養を行うと死細胞も増加してしまうため、正確なTreg数を算出することができなかった。これまで使用していたFACSCaliburではCD4, CD25, FoxP3の3パラメーターの検出しか行えなかったが、さらに死細胞の検出を行うためには4パラメーターのフローサイトメトリーが必要であり、現在検討を行っている。
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