研究課題
血漿抗インスリンIgGをアフィニティクロマトグラフィーによって分画した。3M NaCl、1.5M glycine buffer solutionと0.05M PBSを用いた線形グラジエントプログラムによって抗インスリンIgGは分画IとIIに分かれた。表面プラズモン共鳴技術により解析した分画IとIIのインスリンに対する結合親和性は、それぞれ1.61×10-4Mおよび2.00×10-5Mと中等度であった。エピトープマッピングにおいてネコの抗インスリンIgGの分画IとIIはインスリン分子のB鎖のカルボキシ末端に一番高い抗原性を示し、次にB鎖の6-15アミノ酸残基に対して高い抗原性を示した。これらは、インスリンのインスリン受容体に対する結合部位に相当し、抗インスリンIgGがインスリンとインスリン受容体の結合を競合的に阻害する可能性を示す。さらに、分画I・IIともB鎖の6-15アミノ酸残基にも親和性を示したことから、ネコ抗インスリンIgGはインスリンの複数部位と結合し、多分子複合体形成の可能性を示した。インスリンと分画Iを添加するとネコ成熟脂肪細胞の[3H]-2-DOG取込量は著しく増加した。しかし、インスリン添加によるDOG取込量は、分画IIを添加しても、インスリン単独添加による取込量と同等であった。インスリンと抗インスリンIgGの分画Iをともに添加すると、リン酸化Aktの検出量は、5分後までにインスリン単独添加よりも増加し、15分以降も持続した。インスリンと分画IIをともに添加した場合のリン酸化Aktの検出量はインスリン単独添加と同様であった。ネコの抗インスリン自然自己抗体には、インスリンの作用を増強する分画と、増強しない分画があることが明らかとなった。
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Journal of Veterinary Medical Science
巻: 77 ページ: 1379-1383
10.1292/jvms.15-0131
http://www1.gifu-u.ac.jp/~naikahp/