黄色ブドウ球菌が引き起こす乳牛の慢性化乳房炎の経済損失は甚大であり、その対策は急務とされている。本研究では、黄色ブドウ球菌を認識するウシポリクローナル抗体(anti-S. aureus)を作出し、anti-S. aureusが黄色ブドウ球菌の増殖を直接阻害可能であることを実証した。また、この黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害効果は、黄色ブドウ球菌の病原性に深く関わる細胞壁結合タンパク質とは無関係であることが、その形成に関与するSortase Aを欠損株を用いた研究から明らかにされた。本研究成果は、ナノテクノロジーを活用した、抗体による慢性化乳房炎治療技術開発に向けた基盤に成り得るものであった。
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