研究課題
骨格筋(食肉)の筋線維タイプ組成は食肉の栄養特性や物性(硬さ)に大きな影響を与えることが知られている。ほ乳類では運動トレーニングに伴い、速筋タイプの筋線維が減少し、遅筋タイプの筋線維が増加することが古くより知られている。この速筋から遅筋への変換は、現在普及した考えでは、分化が終了した筋線維で生じるイベントと考えられている。しかし我々は未分化の筋衛星細胞がこの筋線維タイプ変換に寄与すると着想した。すなわち、未分化の筋衛星細胞が分化・融合して新しい筋線維タイプに置き換わるという可能性である。本研究では運動に伴い、既存筋線維に融合する筋衛星細胞が、筋線維タイプ変換に寄与すると仮説をたて、薬剤処理で後天的に筋衛星細胞を死滅できる遺伝子組換えマウスと、筋芽細胞の移植実験を用いて、この仮説を証明することに挑戦する。平成26年度は筋線維タイプ変換を正確に評価するために、マウスの筋線維タイプ測定操作方法について詳細な予備検討を行った。その結果筋線維タイプマーカータンパク質の免疫染色操作で、サンプルの前処理方法で抗原抗体の反応性が大きく異なることが分かり、特定の前処理によって明確に筋線維タイプを区別することができることを見いだしている。さらに時期および組織特異的に遺伝子を操作するためにタモキシフェンという薬剤をマウスに投与する必要がある。本年度はこのタモキシフェン溶液の調製および注射方法(頻度等)を経験を有する研究者から指導して頂いた。
2: おおむね順調に進展している
筋線維タイプを評価する実験系の構築が進んだから。遺伝子組み換えマウスの導入についても準備を進めているため。
Pax7-CreERT2マウスとR26RDTAマウスを交配させたマウスを導入し、繁殖する。その後タモキシフェンを投与して衛星細胞を死滅させる。コントロール群にはタモキシフェンの溶媒のみを投与する。この衛星細胞欠損マウスと対照マウスに持久的な運動を負荷し、長趾伸筋とヒラメ筋、腓腹筋を摘出してMyHCの免疫染色、SDS-PAGE、MyHC mRNA発現解析を行って筋線維タイプの衛星細胞の影響を評価する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 5件)
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