研究課題/領域番号 |
26660252
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医学部, 教授 (00153007)
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研究分担者 |
松田 潤一郎 独立行政法人医薬基盤研究所, 疾患モデル小動物研究室, 研究リーダー (60181731)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生理学 / GnRH / Mx1 / 細胞増殖 / コンポジットエクソン / アルタナティブスプライシング |
研究実績の概要 |
Mx1遺伝子は、インターフェロンで誘導される抗ウイルス遺伝子として知られる。申請者は、本遺伝子にスプライシングバリアントが存在すること、その一つが新しいポリA結合部位を介して作られるコンポジットエクソンであることを明らかにしている。また、下垂体前葉で性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によってMx1合成の促進されることも明らかにしており、アルタネイティブスプライシングの調節機構への関与に興味が持たれた。本研究では、申請者等が発見した新規バリアントの機能解析によるMx1の新規生理機能の解明を目指している。 マウスのMx1遺伝子には欠失があり、偽遺伝子化しているが偽遺伝子転写産物に加え、コンポジットエクソンの転写産物の出来ることを確かめている。そこで、まずこれら遺伝子の転写が調節されているのか否かを明らかにするために、組織ごとで発現量が異なるか否かを検討したところ、組織ごとの発現量に両者の違いが見られ、インターフェロンに対する反応にも違いが見られた。偽遺伝子由来mRNAとコンポジットエクソン由来mRNAの発現を異なるプライマーペアで検出できるようにし、インビトロの系でインターフェロンとGnRHの作用を調べると、ここにも違いが見られた。さらにコンポジットエクソンの働きを調べるためにMx1偽遺伝子をノックアウトしたマウスを作製した。まだ動物の解析には至っていないが、既に産子を得ている。さらにコンポジットMx1の組織分布や細胞内分布を調べるために、Mx1コンポジットエクソン由来産物に対する特異的な抗体を作製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンポジットエクソンの発現評価法を用いて、様々な系で発現解析が出来たこと。予想通りアルタナティブスプライシングを調節する機序の存在することが示唆されることなどを明らかに出来た。当初計画を超えて偽遺伝子のノックアウト動物を作製できたこと、特異抗体の作製も順調に進んでいることから概ね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
Mx1欠失動物は、我々が作製するまで存在しなかった。このノックアウトマウスの機能解析を中心に研究を進める予定である。今まで偽遺伝子と考えられてきたマウスMx1の新たな機能が明らかになる。更に細胞レベルでの作用機序を明らかにするため、作製した抗体を用いて免疫組織化学法やウエスタンブロットを利用した動物個体レベル、及び細胞レベルでの実験を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年3月にアメリカ内分泌学会年次総会に参加した。従来6月に開催されていた学会で、昨年度から日本の年度末に開催されるようになった。この時、事後精算で参加したので実際の旅費238,660円を27年度に受領することになる。それに匹敵する分を次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
上述のごとく繰越額は旅費の事後精算に用いる。
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