研究課題/領域番号 |
26660261
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
加藤 容子 近畿大学, 農学部, 教授 (40278742)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 凍結 / 発生工学 / 胚盤胞 / 受精卵 |
研究実績の概要 |
哺乳動物の細胞や生殖細胞を長期間保存するためには、細胞や生殖細胞を液体窒素下で保存するのが一般的であるが、そのためには、液体窒素の維持が必要であるなど煩雑な面も多い。そこで、本研究では、哺乳動物の生殖細胞を凍結乾燥保存できないか検討する。これまで、哺乳動物細胞では、精子や体細胞において凍結乾燥保存が試みられ、精子の場合は顕微授精後産子が得られており、有用な方法であることが示唆されている。しかしながら、卵子や受精卵の凍結乾燥保存の成功例はまだない。もし、卵子や受精卵の凍結保存が可能となれば、家畜等大型動物に対して、野外で胚移植を実施する際に、胚の準備がより簡便になり、また、これまで不可能であった、設備が整っていない国や地域での卵子や受精卵の長期保存や移動が可能となる。 そこで、本研究では、哺乳動物の胚盤胞を凍結乾燥保存できるか検討するうえで、本年度はまず予備的に下記について検討した。すなわち、高率な胚盤胞形成のための実験系、培養系確立、凍結乾燥に先立って必要な胚の凍結法の確立である。 マウスを用いて、胚盤胞まで体外培養する顕微授精実験系と培養系を確立した、胚盤胞のガラス化凍結法を確立した。家畜卵の体外培養系、顕微授精による胚盤胞作出の実験系が確立できた、単為発生による胚盤胞作出実験系の確立ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスでは、胚盤胞を作出するために受精卵培養系ならびに顕微授精の実験系が確立できた。マウス胚盤胞のガラス化凍結法が確立できた。また、家畜の卵子を用いる検討が予定より早く着手できた。そのため、トレハロース、ラクトース、高分子ポリマーの添加の影響についてはH27年度前期に終了できる目処がついた。凍結乾燥の試みにもH27年度前期に着手できる予定となった。 以上のことから、当初予定の内容と前後するが、おおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
マウスと家畜のサンプルを同時並行で使用し、培養培地と凍結乾燥培地にトレハロース等の添加物を加えた影響を検討する、また、脱水処理の影響を検討する予定で実施する。
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