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2014 年度 実施状況報告書

新規PTTH受容体の精製と構造決定

研究課題

研究課題/領域番号 26660266
研究機関名古屋大学

研究代表者

溝口 明  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60183109)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード前胸腺刺激ホルモン / 受容体 / カイコガ / 精製
研究実績の概要

昆虫の脱皮・変態は前胸腺が分泌するエクジステロイドにより誘導される。前胸腺によるエクジステロイド合成は前胸腺刺激ホルモン(PTTH)によって調節されるが、そこでは、PTTH分泌量のみならず前胸腺のPTTH受容体発現量も重要な調節要因となる。本研究では、PTTH受容体研究の一環として新規受容体の同定を目指しており、26年度は以下の研究を行った。
1)前胸腺に存在するPTTH結合タンパク質の検出と発現時期の解析:カイコガ終令幼虫の前胸腺を1日毎に採取し、PTTHとインキュベートした後に化学架橋し、膜画分から可溶化したタンパク質をPTTH抗体を用いてウェスタンブロット解析した。その結果、ワンダリング開始後2日目以降に約100-130kDaのバンドが2本検出された。これらをPTTH受容体の候補とした。
2)PTTH受容体(候補)の精製法の開発:始めに免疫沈降による精製を試みた。化学架橋後のPTTH-受容体結合物を可溶化し、PTTH抗体による免疫沈降物をウエスタン解析すると、抗体由来のバンドが100-130kDa付近に出現し、目的のバンドの検出が困難であった。そこで、Hisタグ付きPTTHと受容体を化学架橋し、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)による精製を試みた。その結果、精製物のウエスタン解析により、目的のバンドが検出された。
3)質量分析による精製物の同定:IMACにより、1000個の前胸腺からHis-PTTH-受容体結合物を精製し、SDS-PAGEで分離した。100-130kDa付近のバンドを切り出し、トリプシン消化したのち質量分析に供した。しかし、カイコガゲノムデータベースを使って同定されたタンパク質の中に、PTTHも有力な受容体候補タンパク質も検出されなかった。この結果より、現時点では、目的タンパク質の回収量も精製度も不十分であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Hisタグ付きPTTHと受容体候補を化学架橋してから可溶化し、IMACにより精製することによりPTTH-受容体結合物を得ることまでは進んだ。また、質量分析によるタンパク質の同定の試行も予定通りである。しかしまだ、目的とする受容体タンパク質の同定までには至っていない。その理由は、質量分析に供したサンプル中のPTTH-受容体結合物の量が不十分であったことにある。サンプルが不十分となった原因はいくつか考えられる。1)前胸腺膜画分からの目的タンパク質の可溶化が不十分、2)IMACによる精製における回収率が低い、3)サンプルの精製度が十分に高くない、4)出発材料の前胸腺が1000個では不十分、などである。今後はこれら全ての点について改善を図り、効率的な精製を目指す予定である。

今後の研究の推進方策

先ず第一に、精製の効率化を図ることである。自己評価欄に記した点について改善を図り、27年度中に目的タンパク質を同定することを目指す。同定に成功すれば、当初の計画に沿って研究を進める。計画の概要は以下のとおり。
1.受容体候補タンパク質のPTTH結合能の確認
2.新規PTTH受容体遺伝子の発現動態の解析
3.新規PTTH受容体の特徴づけ
4.新規PTTH受容体遺伝子ノックアウト実験

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額の667円は26年度の支出の残額であるが、基金なのでそのままとした。

次年度使用額の使用計画

27年度の請求額と合わせて使用する。
小額なので、当初の助成金の使用計画には影響がない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Positive feedback regulation of prothoracicotropic hormone secretion by ecdysteroid - A mechanism that determines the timing of metamorphosis.2015

    • 著者名/発表者名
      57.Mizoguchi, A., Kamimura, M., Kiuchi, M., Kataoka, H.
    • 雑誌名

      Insect Biochem. Mol. Biol. 58, 39-45.

      巻: 58 ページ: 39-45

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016.j.ibmb.2015.01.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Isoform-specific expression of the neuropeptide orcokinin in Drosophila melanogaster.2015

    • 著者名/発表者名
      58.Chen, J., Choi, M.S., Mizoguchi, A., Veenstra, J.A., Kang, K., Kim, Y.-J., Kwon, J.Y.
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Orcokinin-like immunoreactivity in central neurons innervating the salivary glands and hindgut of ixodid ticks.2015

    • 著者名/発表者名
      59.Roller, L., Simo, L., Mizoguchi, A., Slovak M., Park, Y., Zitnan, D.
    • 雑誌名

      Cell Tiss. Res.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] ヨトウガ蛹休眠の休眠覚醒を制御する内分泌機構2014

    • 著者名/発表者名
      山田信人、溝口明
    • 学会等名
      日本動物学会第85回大会
    • 発表場所
      東北大学(仙台)
    • 年月日
      2014-09-11
  • [学会発表] カイコガ生殖器原基の成長発達のホルモン調節機構2014

    • 著者名/発表者名
      藤永大輝、河村祐亮、溝口明
    • 学会等名
      日本動物学会第85回大会
    • 発表場所
      東北大学(仙台)
    • 年月日
      2014-09-11

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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