研究課題
前年度に引き続き、新規PTTH受容体の精製法の確立を目指した。28年度はPTTH合成の専門家である片岡宏誌博士を分担者に迎え、自力では成し得なかったHisタグ付きPTTH(PTTH-His)の合成に成功し、研究に必要な十分量を確保することができた。受容体精製の方針は、PTTH-Hisを既知標的組織である前胸腺(10対)と反応させたのち、PTTHと細胞膜上の受容体を化学架橋し、これを可溶化したものを出発材料として2段階のアフィニティー精製(PTTH抗体による精製とHisタグ精製)で受容体を単離するというものである。アフィニティー精製には新たに磁気ビーズを導入し、精製の効率化を図った。抗PTTH抗体を結合させた磁気ビーズとHisタグタンパク質精製用の磁気ビーズを用意し、1)PTTH―受容体複合体の可溶化法、2)それぞれのアフィニティー精製の最適条件(結合条件と解離条件)、精製の順序等の検討を行った。膜タンパク質可溶化の最適条件とアフィニティー結合の最適条件は相容れない点が多く、工夫が必要であったが、精製条件と手順のある程度の絞り込みには成功した。しかし、まだ収量が低い点が克服できておらず、さらなる条件検討が必要である。また、受容体精製のための新たな出発材料の確保を目指し、前胸腺以外の組織において受容体候補タンパク質の発現がないかを検討した。カイコガの様々な発育段階の幼虫から、中枢神経系、唾液腺、脂肪体、マルピーギ管、生殖腺などを採取し、ウエスタンブロット解析により、PTTHと結合する膜タンパク質を発現する組織を探索した。しかし、前胸腺で検出される分子量約12万のバンドは、どの組織からも検出されなかった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Scientific Reports 7
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