研究課題/領域番号 |
26660267
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
石井 大佑 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60435625)
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研究分担者 |
浦田 千尋 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40612180)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微細構造 / 流路 / 表面張力 / 水輸送 / オイル輸送 / 水油分離 / バイオミメティクス |
研究実績の概要 |
本研究で構築を目指す水-油分離技術は、表面微細構造と表面化学組成を精密に制御すること達成される。固体表面における液体の挙動は、その表面微細構造と化学組成に依存している。前述したフナムシの脚では、緻密な微細構造と疎水性分泌液との複合効果により、ポテンシャルエネルギーのみで重力に抗して液体を上昇させている。この2因子を制御する事により、液体と表面の界面自由エネルギーを制御できる。これまでの研究から、フナムシの脚の微細構造流路の直接的な表面化学修飾により、界面自由エネルギーの違いで重力に抗して水の輸送挙動の制御に成功している。本研究では、下記の3項目について検討を行い、水-油分離技術の確立を試みる。 本年度は、1)フナムシの微細構造を模倣したパターンの作製と表面ぬれ特性評価と2)微細凹凸表面の多様な液体に対する濡れ性評価を行った。まず、フナムシの脚に存在する微細毛により形成されているオープン流路構造を模倣した凹凸パターン構造を設計し、高分子レジストのフォトリソグラフィにして作製した。実際のフナムシの流路構造のパラメータを標準として、微細毛の長軸方向や短軸方向の間隔やパターンの厚さを系統的に変化させた凹凸パターン構造を作製した。作製した微細構造表面の表面ぬれ特性を、既設の接触角計を用いて測定した。表面濡れ特性は、水、ヘキサデカン等の表面張力の異なる各種液体に対する接触角や転落角により評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者とも密接にやりとりをしている結果、オイル輸送表面の設計指針が明確になってきた。
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今後の研究の推進方策 |
下記2項目について、迅速に推進していく。 1) 微細凹凸表面の表面修飾による表面自由エネルギー制御 作製した表面濡れ性が評価された多種の微細凹凸表面に、疎水性または親水性官能基を末端にもつシランカップリング剤やチオール化合物を自己組織化(SAM法)により物理化学的に導入することで表面の化学組成を制御する。親水性表面修飾剤と疎水性表面修飾剤の組成比を系統的に変化させた表面修飾を行うことで、表面の濡れ性が系統的に変化している微細凹凸表面を作製する。 2) 表面修飾された微細凹凸表面の多様な液体に対する濡れ性評価 上記1)で作製した系統的に表面修飾された多種の微細凹凸表面の多様な液体に対する濡れ性を評価する。評価法は上記1-2)と同様の接触角と転落角測定により行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海産生物の表面構造に起因する行動パターンについて、長崎大学の長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科河端雄毅先生とディスカッションおよび観察/実験方法ので予定であったが、先方と予定が合わず、繰越こととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年に引き続き、海産生物の表面構造に起因する行動パターンの調査のため、長崎大学、河端研究室への出張費として、使用を予定している。
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