カリヤコマユバチは、宿主アワヨトウ幼虫に寄生の際、宿主体内に数十個の卵を産み込み、孵化した幼虫は寄生後11日目にほぼ一斉に宿主体外へ脱出し始める。脱出直前の宿主幼虫を腹部中央で結紮すると、寄生蜂幼虫は必ず後部から脱出を開始するが明らかになった。この脱出は体液性の誘導因子によって開始することが確認できたので、その精製・構造決定、分泌器官の特定を試みた。その結果、この因子の構造決定に成功し、さらに、この活性因子の主な分泌組織が血球であることが判明した。また、組織培養実験によって、その分泌は脳―第9腹部神経節由来の新規活性因子によって誘導されるであろうことが推定された。
|