研究課題/領域番号 |
26660279
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 暁史 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (20598601)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 生物間コミュニケーション / 放射性化合物 / 植物代謝物 / 寿命 / マメ科植物 |
研究実績の概要 |
植物は根から土壌中に代謝物を分泌し、その量は光合成産物の10~40%を占める。これらの代謝物は土壌生態系での生物間コミュニケーションに重要な役割を担うとされるが、その実態は未解明の部分が多い。本研究では、植物代謝物の寿命と動態を明らかにすることを目的とした。 本年度は水耕栽培ダイズを用いて根圏への代謝物の分泌を生育過程を通じて測定した。その結果、栄養生長期に二次代謝産物(フラボノイド等)の分泌活性が高いことが明らかになった。栄養生長期に分泌関連の遺伝子発現が上昇することが見出されたが、土壌環境下でも同様の発現上昇が認められ、生育段階による調節が重要な役割を担うことが示唆された。 また、土壌中からの代謝物抽出条件を検討した後、フラボノイドの分解速度を解析した。既報の文献と半減期の値が大きく異なることが多く、土壌の化学性や微生物の違いによってフラボノイドの半減期が異なることが示唆された。そのため、次年度は土壌の分析も併せて行い、土壌の特性と関連付けて植物代謝物の寿命と動態、特に分解産物についての解析を進めることとした。 放射性化合物を抽出するために最適な栽培条件を調べた。水耕栽培のダイズを用いた場合には化合物の注入効率が悪いことが分かったため、同じマメ科のモデル植物であるミヤコグサを利用することとした。ミヤコグサの根粒感染及び菌根感染系条件はすでに確立しており、次年度はミヤコグサを用いて放射性化合物を用いた実験を推進することとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成に向けて、水耕栽培系での実験や土壌からの抽出等、計画に従って進捗している。一部、放射性化合物を利用した実験で計画よりも遅れている部分もあるが、実験系を確立できたため当初予定の実験も含めて平成27年度に実施することが可能であると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進展しているので、研究計画に従って推進する。水耕栽培の系ではダイズだけでなく、ミヤコグサを活用することで、特に放射性化合物を用いた実験を重点的に行う。特に、根粒菌や菌根菌感染条件での代謝物の動態の把握を進める。されに、土壌中での代謝物の寿命と動態を解析する際に、26年度の研究で課題として見出された土壌の化学性や微生物の解析についても併せて進める。 平成27年度は最終年度であるため、学会発表を行うとともに、速やかに論文化を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた量の放射性化合物の購入を見送ったことによる。
|
次年度使用額の使用計画 |
放射性化合物を購入し計画に沿った研究を遂行する。
|