研究課題/領域番号 |
26660284
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
日置 佳之 鳥取大学, 農学部, 教授 (90335505)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 緑地計画 / 緑道 / 都市計画 / 環境低負荷型交通網 / 交通安全 |
研究実績の概要 |
緑道(greenway)とは、環境負荷が少ない交通網と生物の生息地相互の連絡機能を兼ねた歩道・自転車道及びそのネットワ-クのことである。緑道は、我が国では新住宅市街地整備法によって整備されたニュ-タウン(NT)などで例があるものの、地域全体で系統的に整備されるには至っていない。しかし、緑道は、低環境負荷型交通網であり、高齢化社会を迎えての健康志向への対応、交通安全対策、災害時の避難路整備、及び生物多様性保全といった現代的な諸課題を解決する上で鍵となる可能性をもつものである。とくに近年多発している学童通学時の大規模交通事故など根本的対策には緑道整備が必要である。本研究では、緑道の社会資本としての整備計画の方法論について研究を行うことを目的とする。 平成26年度の研究実施内容: (1)欧米諸国等における緑道の計画・整備に関する最新情報の収集・分析:文献から米国、欧州、豪州、シンガポールの事例を収集した。現地調査は平成27-28年度実施予定。 (2)国内事例の把握と傾向分析:帯広市、堺市において緑道の現地調査を行った。帯広市では鉄道跡地と河川堤防が、堺市では旧市街地では環濠埋立地が主な緑道整備敷地であった。堺市の泉北NTでは新住宅市街地開発事業による緑道網が丘陵地に計画的に整備されていた。 (3)緑道の必要性把握・機能分析:堺市において、立体交差型緑道網が整備されている泉北NTとそれ以外の地域の「自転車対自動車」「歩行者対自動車」の交通事故発生頻度を比較したところ、緑道網整備地域では明らかに事故件数が少なかった。これにより緑道網が自転車と歩行者の交通事故抑制について機能していることが明らかになった。 (4)緑道の計画に関する事例研究:鳥取市を事例として中心市街地地と近郊を結ば幹線緑道の計画路線を検討した。交通事故抑制を主目的に、既往の事故データ、道路現況等から最適路線候補地を選定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた研究実施内容に照らして、予定以上に進んだ研究項目と、予定より遅れた研究項目があった。そのため、全体としてみると(2)おおむね順調に進展、に該当すると判断する。各項目の進捗は以下のとおり。 (1)欧米諸国等における緑道の計画・整備に関する最新情報の収集・分析:文献から米国、欧州、豪州、シンガポールの事例を収集できたが、現地調査が実施できなかった。⇒この項目は予定よりやや遅れている。 (2)国内事例の把握と傾向分析:帯広市、堺市において緑道の現地調査を行った。帯広市では鉄道跡地と河川堤防が、堺市では旧市街地では環濠埋立地が主な緑道整備敷地であった。堺市の泉北NTでは新住宅市街地開発事業による緑道網が丘陵地に計画的に整備されていた。⇒この項目はほぼ予定通り進展。 (3)緑道の必要性把握・機能分析:堺市において、立体交差型緑道網が整備されている泉北NTとそれ以外の地域の「自転車対自動車」「歩行者対自動車」の交通事故発生頻度を比較したところ、緑道網整備地域では明らかに事故件数が少なかった。これにより緑道網が自転車と歩行者の交通事故抑制について機能していることが明らかになった。⇒この項目もほぼ予定通り進展。 (4)緑道の計画に関する事例研究:鳥取市を事例として中心市街地地と近郊を結ば幹線緑道の計画路線を検討した。交通事故抑制を主目的に、既往の事故データ、道路現況等から最適路線候補地を選定した。⇒この項目は予定よりやや進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度に実施できなかった欧米諸国等における緑道の計画・整備に関する最新情報の収集・分析について海外調査を行い、重点的に究の進展を図る。また、平成26年度に行った研究内容のうち、(3)緑道の必要性把握・機能分析と(4)緑道の計画に関する事例研究については、学会誌への論文投稿を行うとともに引き続き研究を進める。(2)国内事例の把握と傾向分析についても引き続き現地調査を中心に研究を進める。平成28年度は、27年度と同様に進めるとともに、緑道に関する本の執筆を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、海外調査が研究代表者の健康上の理由で実施できなかったため、旅費使用額が予定より少なくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度及び平成28年度に、過年度に実施できなかった分まで海外調査を実施する。 平成27年度 欧州、北米調査 平成28年度 欧州、アジア諸国調査
|