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2015 年度 実施状況報告書

植物にATG5/ATG7非依存性のオートファジー経路は存在するか?

研究課題

研究課題/領域番号 26660286
研究機関東北大学

研究代表者

石田 宏幸  東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60312625)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードオートファジー / 葉緑体 / オルガネラ / 栄養リサイクル / 老化
研究実績の概要

独立栄養生物である植物にとって、必須栄養素やエネルギーの体内リサイクルは過酷な環境下での生存戦略の一つとして極めて重要な意味を持つ。これらのリサイクル機構には、細胞自己分解システム「オートファジー」が、重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。酵母で同定されたオートファジーに必須の遺伝子群ATGsは植物を含めた真核生物全般で保存されており、オートファジーの中核的なメカニズムは共通とされる。しかし、ATGを欠損するシロイヌナズナ変異体は基本的な生活環を完結することから、動物で報告されたように従来型とは異なる新奇オートファジー経路の存在が示唆される。本研究では、植物におけるATG非依存性の新奇オートファジー経路の存在について明らかにするとともに、その従来型オートファジーとの関係について検証することを目的として、今年度は昨年度に引き続き新奇オートファジー経路の可視化系の構築について進めた。3種類のコンストラクト(35S:mKeima、35S:TP-mKeima、SAG12:SAG12-mRFP)を作成した。これらのコンストラクトを用いてシロイヌナズナ野生体の形質転換を行った。得られた複数の形質転換体候補種子の選抜を行い、目的の蛍光タンパク質が正しくより多く発現する個体の同定を進めた。さらにこれらのコンストラクトの導入が確認された形質転換体とオートファジー欠損変異体(atg5-1およびatg7-2)の交配を進め、F1種子を獲得した。また並行してオートファジー欠損変異体における葉緑体の消長(オルガネラのサイズや細胞当たりの数)について顕微鏡による定量解析を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度に完了する予定であったコンストラクトの野生体における有効性の確認の遅れを引きずる形で、今年度も当初の計画からは遅れている状況にある。35S:mKeimaまたは35S:TP-mKeimaを発現するatg5-1およびatg7-2の準備が、交配に一定時間を要するために完了しなかった。

今後の研究の推進方策

35S:mKeimaまたは35S:TP-mKeimaを発現する形質転換体とatg5-1またはatg7-2を交配して得たF1種子を播種し自殖F2種子を早急に獲得する予定である。また今年度から着手したオートファジー欠損変異体における葉緑体の消長の顕微鏡による定量解析をさらに推進していく。

次年度使用額が生じた理由

今年度はATG非依存性のオートファジー経路の存在について検証する中心材料である35S:mKeima、35S:TP-mKeimaを発現するオートファジー欠損変異体(atg5-1およびatg7-2)の作成まで至らなかった。そのため、その検証に要する物品費や人件費、その成果発表に係る旅費やその他の経費が未使用となった。

次年度使用額の使用計画

ATG非依存性のオートファジー経路の存在について検証するため、物品費は植物栽培用品20個として計20万円、薬品20個として計20万円、旅費は国内学会発表用に2人、1回づつで20万円、人件費は植物栽培の補助に1人、2か月で20万円程度を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] From Arabidopsis to cereal crops: Conservation of chloroplast protein degradation by autophagy indicates its fundamental role in plant productivity2015

    • 著者名/発表者名
      Izumi, M., Hidema, J., Ishida, H.
    • 雑誌名

      Izumi, M., Hidema, J., Ishida, H.

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.1080/15592324.2015.1101199

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 異なる窒素栄養条件下においてオートファジーの欠損がイネの窒素利用と成長に与える影響の解析2016

    • 著者名/発表者名
      横浜諒、和田慎也、菅野圭一、小島創一、山谷知行、牧野周、石田宏幸
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県盛岡市)
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-20
  • [学会発表] シロイヌナズナのRCBおよび葉緑体オートファジーにおけるATI(ATG8-interacting proteins)の役割について2015

    • 著者名/発表者名
      石田宏幸、西村 翼、泉 正範、Gad Galili、牧野 周
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市左京区)
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-12
  • [学会発表] イネの栄養成長と老化葉の窒素リサイクルにおけるオートファジーの役割の解析2015

    • 著者名/発表者名
      和田慎也、林田泰和、泉 正範、来須孝光、花俣 繁、朽津和幸、牧野 周、石田宏幸
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市左京区)
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-12
  • [学会発表] シロイヌナズナにおけるオートファジーが亜鉛欠乏時に果たす役割2015

    • 著者名/発表者名
      江口雅丈、吉本光希、木村和彦、泉 正範、和田慎也、牧野 周、石田宏幸
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市左京区)
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-12
  • [学会発表] イネの発芽過程におけるオートファジーの役割2015

    • 著者名/発表者名
      和田慎也、中村 萌、石田宏幸、牧野 周
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市左京区)
    • 年月日
      2015-09-09 – 2015-09-11

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公開日: 2017-01-06  

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