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2015 年度 実施状況報告書

細胞膜透過型Pin1の作成と幹細胞分化

研究課題

研究課題/領域番号 26660287
研究機関東北大学

研究代表者

内田 隆史  東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80312239)

研究分担者 内田 千代子  福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (80312776)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / 酵素 / Pin1 / 分化 / 脂肪細胞 / 細胞周期
研究実績の概要

細胞膜透過性の良いペプチド(PTD)を探索している。これまでに報告されているペプチドについてN末、C末、またはその両方に結合させるなどして最も効率のよいものを検討した。GFP-Pin1を作成し、細胞導入されたかどうかを顕微鏡下で簡便に観察することを目指した。TAT, His porimer、または市販のペプチド配列など各種試験したがタンパク質を無駄なく効率良く細胞に導入することは難しいと感じている。したがって、PTD-Pin1そのものよりも、PTD-Pin1が細胞に導入されたかどうかを判定する評価系を作製することを優先的な課題に変更して研究を進めることに大きく方針を変更した。
その結果、2種類の細胞評価系を作製することに成功した。第一に、Pin1-KO マウス胎児繊維芽細胞(MEF)を応用した細胞周期評価系を作成した。コントロールは野生型MEFとした。パピローマウイルスのE6, E7を各MEFに導入し MEFを不死化した。野生型とPin1-KO MEFの細胞周期状態を比較した。KOはG1期の細胞の比率が高く、野生型ではG2・Mの比率が高くなることを利用してPin1が細胞に導入されたかどうかをこの MEFの細胞周期の比率の変化により判定することができるようになった。また、第二に、Pin1-KO間葉系幹細胞は野生型間葉系幹細胞に比較して脂肪細胞へ分化しにくくなることを応用した脂肪細胞への分化評価系を確立した。さらにPin1の生物活性に対応した各組織や細胞での適した評価系を作製しているが、その一つとして一酸化窒素の産生酵素へのPin1の作用を定量的に測定する方法として、細胞内の硝酸・亜硝酸を定量する方法を開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞への導入効率の良いPTD-Pin1はまだ完成していない。しかし、PTD-Pin1の評価系として間葉系幹細胞の分化をPin1が促進していることを応用している。今年度は、より明瞭に分化する野生型間葉系幹細胞株を新たに確立した。Pin1の阻害剤の評価は画期的に容易になったことは当初予想していなかった成果である。

今後の研究の推進方策

我々が作製したPin1-KO間葉系幹細胞株と野生型間葉系幹細胞でどのようなシグナル関連分子が脂肪細胞への分化を促進しているのかを解明する。また今までの作製したPTD-Pin1をテストしベストなPTD-Pin1を得ることを目的とする。

次年度使用額が生じた理由

これまでは小スケールでの検討に時間がかかったので予想よりも経費がかからなかった。今後はスケールアップした実験を行い、また医学的専門家の意見を取り入れより意義のある成果とするように共同研究も活発にするので予算を最後年にも用意する必要があった。

次年度使用額の使用計画

幹細胞の脂肪細胞または骨細胞への分化の促進効果を指標にPTD-PIn1の評価を行う。またこれらの研究を医学的見地から分担者の内田千代子博士らによって検討することを行う。また発表も行う予定にしている。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Prolyl Isomerase Pin1 Regulates Doxorubicin- Inducible P-glycoprotein Level by Reducing Foxo3 Stability.2016

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T, Bamba Y, Kawabe Y , Fukuda T, Fujimori F, Takahashi K, Uchida C, and Uchida T
    • 雑誌名

      Biochemical Biophysical Research Communications

      巻: 471 ページ: 328-333

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2016.02.014

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] sNOOOpy, a Sensor for Physiological NO3-/NO2- Employing a Bacterial Two-Component Regulatory System.2016

    • 著者名/発表者名
      Hidaka M, Gotoh A, Shimizu T, Minamisawa K, Imamura H and Uchida T
    • 雑誌名

      Journal Biological Chemistry

      巻: 291 ページ: 2260-2269

    • DOI

      10.1074/jbc.M115.687632

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mycoplasma pneumonia of swine (MPS) resistance and immune characteristics of pig lines generated by crossing an MPS pulmonary lesion selected Landrace line and a highly immune capacity selected Large White line.2016

    • 著者名/発表者名
      Borjigin L, Shimazu T, Katayama Y, Watanabe K, Kitazawa H, Roh SG, Aso H, Katoh K, Uchida T, Suda Y, Sakuma A, Nakajo M, Suzuki K
    • 雑誌名

      Animal Science Journal

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/asj.12529

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunogenic properties of Landrace pigs selected for resistance to mycoplasma pneumonia of swine.2016

    • 著者名/発表者名
      Borjigin L, Shimazu T, Katayama Y, Watanabe K, Kitazawa H, Roh S, Aso H, Katoh K, Uchida T, Suda Y, Sakuma A, Nakajo M and Suzuki K
    • 雑誌名

      Animal Science Journal

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/asj.12471

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunogenic properties of Landrace pigs selected for resistance to mycoplasma pneumonia of swine.2016

    • 著者名/発表者名
      Borjigin L, Shimazu T, Katayama Y, Li M, Satoh T, Watanabe K, Kitazawa H, Roh S, Aso H, Katoh K, Uchida T, Suda Y, Sakuma A, Nakajo M and Suzuki K
    • 雑誌名

      Animal Science Journal

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/asj.12440

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prolyl isomerase Pin1 negatively regulates AMPK by associating with the CBS domain in the γ-subunit.2015

    • 著者名/発表者名
      Nakatsu Y, Iwashita M, Sakoda H, Ono H, Nagata K, Matsunaga Y, Fukushima T, Fujishiro M, Kushiyama A, Kamata H, Takahashi SI, Katagiri H, Honda H, Kiyonari H, Uchida T, Asano T
    • 雑誌名

      Journal Biological Chemistry

      巻: 290 ページ: 24255-24266

    • DOI

      10.1074/jbc.M115.658559

    • 査読あり
  • [学会発表] Pin1は脂肪由来間葉系幹細胞の分化を促進させた2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木寿弥 等
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会、日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県 神戸市)
    • 年月日
      2016-12-03
  • [学会発表] 海藻ポリフェノールはPin1活性を阻害しマウスの脂肪量を低下させた2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木充子 等
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会、日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県 神戸市)
    • 年月日
      2016-12-02
  • [学会発表] プロリン異性化酵素Pin1阻害ポリフェノールの発見2016

    • 著者名/発表者名
      對馬早織 等
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道 札幌市)
    • 年月日
      2016-03-30
  • [学会発表] 微生物環境応答システムの速度論的解析と応用開発2016

    • 著者名/発表者名
      日高將文 等
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道 札幌市)
    • 年月日
      2016-03-30
  • [学会発表] Crisper/Cas9 法によるPin1-欠損ヒト細胞の作製と解析2016

    • 著者名/発表者名
      秋吉皓太 等
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道 札幌市)
    • 年月日
      2016-03-29
  • [学会発表] マウス卵子および初期胚におけるPin1の局在解析2015

    • 著者名/発表者名
      高橋さゆり 等
    • 学会等名
      日本卵子学会
    • 発表場所
      栃木県総合文化センター(栃木県 宇都宮市)
    • 年月日
      2015-05-31

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公開日: 2017-01-06  

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