研究課題
PTD (Protein transduction domain)-Pin1の細胞への効果に関しては、Pin1-/-;p53-/-マウスおよびコントロールとして用いるp53-/-マウスより作成した脂肪由来間葉系幹細胞(Pin1-KO および WT ASC)株を用いて行っている。細胞培養液に、昨年度、我々が検討したPTDとしては効率が高く、かつtrans-activator of transcription (TAT)を融合させたPin1(TAT-Pin1)を添加した。TAT-Pin1でもの細胞導入効率を上げる目的でTAT-Pin1の間葉系幹細胞膜への接着能を向上させることを試みた。ASCの細胞膜に発現しているインテグリンα5β1は、Arg-Gly-Asp(RGD)モチーフを認識して結合することから、RGDペプチドをタンデムに2個N末端に付与した (RGD)2-TAT-Pin1を作成した。コントロールにはPin1 cDNA-レンチウイルスによる感染実験を行った。Pin1 cDNA-レンチウイルスを感染させたPin1-KO ASCはWTと同程度までPin1を発現し、脂肪細胞への分化もWTに近い程度まで回復した。これまでのところ、脂肪細胞への分化をPin1が特異的に行っている可能性が示唆され、Pin1の機能として間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化促進能を評価基準とできることが明確になった(Suzuki A et al (2016) Plos One)。 (RGD)2-TAT-Pin1の分化促進能が高いという有意な結果は得られていない。インテグリンα5β1の発現量が細胞密度や培養条件の影響を受けていることが原因だと推測されているので、 (RGD)2-TAT-Pin1の投与条件や濃度などを今後明らかにしていくことを計画している。
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Neoplasisa
巻: 19 ページ: 216-225
10.1016/j.neo.2017.01002
Plos One
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Cell Death Dis
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http://www.agri.tohoku.ac.jp/enzyme/index-j.html