研究課題/領域番号 |
26660291
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木岡 紀幸 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90234179)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 褐色脂肪細胞 / 細胞外マトリックス / コラーゲン |
研究実績の概要 |
脂肪を蓄積する白色脂肪細胞が、脂肪を燃焼させる褐色様脂肪細胞に変換する仕組みがあることがわかってきた。褐色様脂肪細胞の量と肥満度は負に相関することから、「褐色化」の制御は肥満解消の切り札となる。また、間葉系幹細胞の脂肪細胞分化に「至適な細胞外マトリックスの硬さ」があることが示され大きな注目を集めている。肥満は、脂肪組織に炎症を引き起こし、炎症は細胞外マトリックスの分泌と架橋化を促進することで脂肪組織を「硬く」することが知られている。本研究は細胞外マトリックスの硬さが白色脂肪細胞の褐色化に与える影響とその仕組みを明らかにすることを目的としている。 平成26年度に、ポリアクリルアミドゲルの架橋度を変えることによって様々な硬さを持つ培養基板を作成し、その基板上で前駆脂肪細胞株およびそれを成熟白色脂肪細胞に分化させた細胞を培養する実験系を確立した。また、レンチウイルスを用いて細胞外マトリックスの硬さの感知に関わる蛋白質ビンキュリンとビネキシンの発現を抑制した前駆脂肪細胞株を作成した。平成27年度にはこれらの実験系と細胞を用い、細胞外マトリックスの硬さが脂肪細胞の褐色化に与える効果とその仕組みについて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成熟脂肪細胞は脂肪を多く含み比重が軽いことから、硬さの異なる培養基板上に接着させる実験系の確立に少し時間がかかった。しかし、その問題は新しい培養法の導入によりすでに解決しており、細胞外マトリックスの硬さが脂肪細胞の褐色化に与える効果を調べるための準備は整った。また、各種タンパク質発現抑制、再発現細胞はすでに作成を終えており、研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に作成した実験系と細胞を用い、細胞外マトリックスの硬さが脂肪細胞の褐色化に与える効果を検証していく。順調に進めば、硬さが関わるシグナル伝達についても検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の培養系の構築に少し時間がかかったため、褐色脂肪細胞への分化効率を調べる実験が予定より少なくなったため、消耗品費用が少なくなった。また、予定していた学会に参加できなくなったため、旅費も節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
培養実験系が構築できたので、今年度は分化効率を調べる実験を多数おこなう必要がある。このため次年度使用額となった費用は、消耗品費として使用する。
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