固定化触媒は,取扱いや後処理の簡便化,回収再利用等の利点を有し,近年,活発に開発されてきた.しかし,固定化によって初めて発現する反応挙動の報告は少ない.著者らは最近,多孔質無機素材メソポーラスシリカの細孔内表面にオキソバナジウムを固定化したV-MPSを創出し,これが対応する均一系触媒よりも極めて高いラセミ化触媒活性を示すことを見出した. 本研究で,この高い触媒活性は,細孔内のナノ空間が形成する極性反応場に起因することを解明した.また,V-MPSの細孔サイズを適宜選択することで,リパーゼ触媒動的光学分割法の基質適用性を拡張することができた.さらに,V-MPSのナノ空間を活かした新反応を開発した.
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