研究課題/領域番号 |
26670010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安齋 順一 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40159520)
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研究分担者 |
佐藤 勝彦 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80400266)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グルコースセンサー / フェニルボロン酸 / フェロセン |
研究実績の概要 |
本研究は、酵素に替わる人工素子としてフェニルボロン酸誘導体を電極に固定化して高耐久性グルコースセンサーを開発することを目的として研究を進める。本年度は、まず人工素子として用いるフェニルボロン酸誘導体の合成を実施した。市販のカルボキシ基が置換されたメタアミノフェニルボロン酸誘導体を材料として用い、アミノ基にフェロセンカルボン酸をアミド結合により導入してフェロセン置換フェニルボロン酸を合成した。この化合物は、水溶液中でフェロセン部位が良好な電気化学的酸化還元反応を示すことが判明した。酸化還元電位は通常のフェロセン誘導体とほぼ同等であった。また、溶液中に糖類(フルクトース、グルコース)を添加するとフェロセン部位の酸化還元電位がシフトすることが分かった。次に、アミノメチル安息香酸の窒素原子を介してフェロセンおよびフェニルボロン酸を結合した化合物を合成し、糖の共存および非共存下における酸化還元挙動を検討した。この物質の合成は3工程を要したが、ほぼ満足すべき収率で目的物を得ることに成功した。しかし、この化合物は水溶性が十分ではなかったので、メタノールと水の混合溶液において電気化学的検討を実施した。この化合物自体は、サイクリックボルタンメトリーおよび微分パルスボルタンメトリーにおいて、0.3ボルト付近にフェロセン部位に起因する酸化還元応答を示すことがわかった。一方、糖が共存すると酸化電流が減少するとともに、酸化電位が高電位側にシフトすることが観察された。上記2種の化合物について、チオール化および高分子化することを検討中であり、引き続いて電極への固定化を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、電気化学活性なフェニルボロン酸誘導体を電極表面に固定化することにより、酵素を用いないために、性能にばらつきのない、高耐久性で安価なグルコースセンサーを開発することであるが、これまでに、そのために必要な人工素子の合成に成功した。すなわち、目的の半ばを達成したと評価することができる。しかし、当初予定では本年度中に電極への固定化まで実施する予定であったので、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに合成した2種のフェロセン置換フェニルボロン酸化合物を電極表面に固定化するために、チオール化および高分子化することが次の作業である。さらに、これらの化合物を固定化した電極のグルコースセンサーとしての性能を評価する作業を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中にフェロセン修飾フェニルボロン酸を合成した、その化合物を電極表面に固定化することを当初予定としていたが、電極への固定化に至らなかった。そのため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
実施計画の一部が次年度にずれ込むために、次年度使用額はその実施に使用することになる。
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