研究課題/領域番号 |
26670013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30171432)
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研究分担者 |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00547870)
西川 元也 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40273437)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリー / ワクチン / アジュバント / TLR3 |
研究実績の概要 |
抗原特異的な免疫応答の誘導を利用する免疫療法は、がんや感染症に対する有効で副作用の少ない治療法として期待されるが、効率的な抗原特異的免疫の誘導には抗原と免疫アジュバントの抗原提示細胞への効率的なデリバリーが必要である。本研究では、近年報告されたRNAの連続的なin vitro転写反応の際に形成されるスポンジ状微粒子を用いたデリバリーキャリアの開発について検討を開始した。参考とした報告の続報において、このスポンジ状微粒子がピロリン酸ナトリウムとマグネシウムから形成されることが報告されたことから、今年度は、ピロリン酸ナトリウムと塩化マグネシウムを混合することでピロリン酸マグネシウム微粒子(magnesium pyrophosphate particle; MPP)を作製し、これに免疫アジュバントとして免疫刺激性核酸を搭載したワクチンシステムの開発を試みた。免疫アジュバントには2本鎖RNAアナログのpolyI:Cを選択した。ピロリン酸ナトリウムと塩化マグネシウムの混合によりMPPが形成可能であり、polyI:CをMMP形成時に添加することでpolyI:C搭載MMPを得た。Poly I:C搭載の有無にかかわらず、MPPはスポンジ様の形状であることを走査型電子顕微鏡観察により確認した。蛍光標識polyI:C搭載MPPをマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7細胞に添加し、FACSにより細胞取り込みを評価したところ、poly I:CはMPPに搭載することで細胞取り込みが有意に上昇した。また、polyI:C搭載MPPの免疫活性を評価するためにRAW264.7細胞からのTNF-α産生を測定したところ、polyI:C単独と比較してpolyI:C搭載MPPは有意に高いTNF-α産生を誘導した。以上より、poly I:C搭載MPPは有用なワクチンアジュバントとなり得ることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MPPにpoly I:Cを搭載することで、その免疫担当細胞への取り込み効率と免疫活性化能を改善可能であることを見出したことから、計画はおおむね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、poly I:C搭載MPPを抗原タンパクと同時に添加することによる、抗原特異的免疫応答の増強の可能性について検討する。
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