申請者は、自ら発見した新規な真核生物のP糖タンパク質euP-gpの基質輸送経路にあるGln残基をAlaに変換すると、ATP加水分解活性が恒常的に活性化されるものの、薬物排出能が大きく低下することを発見し、そのGln残基が、ATP加水分解と能動輸送を共役させるための役割を果たしているものと予想した。そこで、X線結晶構造解析を実施したところ、問題のGln残基は、対面するサブユニットのαヘリックスのAla残基とファンデルワールス相互作用を行い、内向型から外向型への構造変化によって膜貫通ドメインのαヘリックスにトルクを蓄積し、それをエネルギー源として復路の構造変化を行っている可能性を見いだした。
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