本研究は、これまでの研究成果をもとに「レドックスを制御することで肥満症の発症メカニズムを解析し、その予防・治療法を提案すること」、ならびに、「酸化還元反応を制御できる新たな化合物も開発・探索」を目的としている。 以下、各項目につき研究計画を示す。 ① レドックス不均衡の改善:本研究は、試験管内での酸化還元電位を基に、生体内反応を制御するために、まずツール化合物として安定スピン化合物を用いて検討した。その結果、高脂肪食摂取による肥満症モデルマウスで、化合物投与により増加した体重は有意に減少し、肝臓内でのNAD+/NADH比は増加した。また、その反応制御経路として、2つ存在する可能性が細胞実験にて明らかとなった。 ② 新規化合物の開発:本コンセプトは、酸化還元電位をうまく生体内反応に一致させた化合物を開発し、実際に応用することである。そこで、ツール化合物とは異なる酸化還元電位を有する化合物を新たに5種類合成した。また、次年度以降の研究に向け、スクリーニング系の構築を開始した。 以上の検討結果を踏まえ、次年度以降は、発症メカニズムの解析とスクリーニング系を用いた候補化合物の探索を行う予定である。
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