本研究は、「レドックスを制御することで肥満症の発症メカニズムを解析し、その予防・治療法を提案すること」を目的としている。そこで昨年度の研究成果を踏まえ、本年度は、発症メカニズムの解析とスクリーニング系を用いた候補化合物の探索を行った。 ①発症メカニズムの解析:昨年度までに、高脂肪食摂取マウスで、化合物の投与により肥満症の改善を示した。本年度の研究により、その原因は、ミトコンドリア内膜でNADP+ + NADH → NADPH + NAD+の酸化還元反応を触媒する酵素nicotinamide nucleotide transhydrogenase(NNT)が原因のひとつであることが明らかとなった。また、化合物の投与群において、脂質合成抑制及び分解亢進という二方面での脂質代謝改善作用があることが示唆された。 ②スクリーニング系の構築:レドックス変動の是正が肥満症の改善につながることから、これらを指標とした新たなスクリーニング系を構築し、評価を開始した。 以上の結果より、「ニトロキシドが抗肥満効果を発揮するには、酸化ストレスの抑制とNAD+/NADH制御の両方を必要とする」ということが示唆された。
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