研究課題
本研究は最近明らかにしたがん幹細胞表面マーカー候補であるZnT1を利用して、がん幹細胞が細胞の分裂に伴って非対称的に誘導される現場を検出することにより、これまで追究されていなかったがん幹細胞発生の瞬間を可視化することを試みることを目的としている。本年度はヒト乳がん細胞株及びヒト大腸がん細胞株を用い、ZnT1を既に開発した抗ZnT1モノクローナル抗体の結合性を指標に細胞化学的に検出することで、がん幹細胞を検出できるかどうかを解明する事を目指した。具体的には、MCF7細胞とSW480細胞を主に用いて、蛍光色素排出能を持つ細胞(サイドポピュレーション)にZnT1が高発現しているか、これが細胞表面から定量出来るかを解明することとした。一方、表面におけるZnT1発現レベルを指標にセルソーターにより集めた細胞が蛍光色素排出能を持つかを追究しつつある。それらの解析の結果、これら二つのマーカーで検出される細胞集団には重なりがあるものの、既に開発した抗ZnT1モノクローナル抗体である2G1の結合性だけを指標にがん幹細胞を同定できるかどうか、慎重に検討する必要があることが解った。またこれらのヒトがん細胞において、ZnT1のmRNAの発現レベルと細胞表面レベルとの相関、Znt1の細胞内分布ついても検討中である。
2: おおむね順調に進展している
研究の進捗度はおおむね予想された状況である。がん幹細胞を、既に開発した抗ZnT1モノクローナル抗体の結合性だけを指標に同定できるかどうか、慎重に検討する必要があることが解ったことで、今後の研究の進めかたについても複数の可能性が生じることになった。
今後の研究の推進方策等:ZnT1以外のがん幹細胞マーカーを組み合わせるか、ZnT1によって解明できる範囲でがん幹細胞発生を捉えることが出来るか、という選択肢の間でどちらを採るべきかを見極めながら研究を進める予定である。
聖路加から順天堂への移動に伴い、使用計画等に変更が生じている。
順天堂での新たな研究環境の構築に使用することが予定されている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)
Cancer Sci
巻: 15 ページ: online
doi: 10.1111
J Virol
巻: 88(3) ページ: 1659-1672
doi: 10.1128/JVI.02014-13
Biochem J
巻: 458(2) ページ: 291-299
doi: 10.1042/BJ20131463
Oncotarget
巻: 5(10) ページ: 3386-3398
Oncol Rep
巻: 32(5) ページ: 1796-1802
doi: 10.3892/or.2014.3443
Int J Oncol
巻: 45(5) ページ: 2085-2091
doi: 10.3892/ijo.2014.2624
巻: 14 ページ: 949-949