研究課題
本研究は最近明らかにしたがん幹細胞表面マーカー候補であるZnT1を利用して、がん幹細胞が細胞の分裂に伴って非対称的に誘導される様子を検出することにより、これまで追究されていなかったがん幹細胞発生を可視化することを試みることを目的としている。本年度は昨年度に引き続きヒト乳がん細胞株MCF7を用い、抗ZnT1モノクローナル抗体2G1の結合性を指標にZnT1を検出することで、がん幹細胞を検出できるかどうかを解明する事を目指した。MCF7細胞の蛍光色素排出能を持つ細胞(サイドポピュレーション)にZnT1が高発現していることは既に解明したので、本年度には抗ZnT1抗体の結合レベルを指標にセルソーターにより集めた細胞において、ZnT1のmRNAの発現レベルが高いことを定量PCR法で明らかにした。他のがん幹細胞マーカーの発現とZnT1の発現との関連を追求したが、関連は見出されなかった。
3: やや遅れている
がん幹細胞を、既に開発した抗ZnT1モノクローナル抗体の結合性だけを指標に同定することは容易でないことが判明しつつある。
がん幹細胞マーカーとして捉えているZnT1の発現レベルが細胞培養の条件などによって影響を受ける可能性についても検証しつつ研究を進める予定である。
聖路加国際大学から順天堂大学への移動に伴う研究環境の構築に時間がかかり、一部の予定していた研究内容の達成に遅れが生じた。
研究内容に変更はなく資金の使途は後半から予定していた通りである。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 図書 (1件)
Int Immunopharmacol
巻: 35 ページ: 15-21
10.1016/j.intimp.2016.03.017
Cancer Sci
巻: 107(2) ページ: 189-202
10.1111/cas.12857.
Biochem Biophys Res Commun
巻: 469(4) ページ: 878-883
10.1016/j.bbrc.2015.12.074.
巻: 106 ページ: 867-874
10.1111/cas.12685.
Anal Chem
巻: 87(14) ページ: 7274-7281
10.1021/acs.analchem.5b01329
Biol Pharm Bull
巻: 38(9) ページ: 1389-1394
10.1248/bpb.b15-00415
Biomaterials
巻: 33(2) ページ: 8-15