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2014 年度 実施状況報告書

患者由来iPS細胞より疾患モデル細胞・動物作製と発症機序及び遺伝子治療評価系構築

研究課題

研究課題/領域番号 26670038
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

松永 民秀  名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40209581)

研究分担者 伊藤 哲哉  藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80336677)
前田 徹  金城学院大学, 薬学部, 准教授 (90381855)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード糖原病Ib型 / HL-60細胞 / iPS細胞 / 好中球 / 肝細胞 / 酸化的ストレス / NADPH oxidase
研究実績の概要

Glucose-6-phosphatase transporter (G6PT) 遺伝子変異患者における好中球減少の原因として、酸化ストレスによるアポトーシスが報告されているが、そのメカニズムは未だ解明されていない。そこでG6PT機能低下による酸化ストレス発生機序の解明を目的とするため、ヒト骨髄性白血病細胞HL-60細胞をDMSO処置により好中球へ分化後、G6PT阻害剤DIDS処置を行い、G6PT異常モデルを得た。DIDS処置群ではcontrol群と比較してreactive oxygen species (ROS) 産生が有意に上昇した。NADPH oidase(NOX) 阻害剤DPI、protein kinase Cβ (PKCβ) 阻害剤GO6976で酸化的ストレスが消失することから、G6PT阻害によるROS産生にはNOX及びPKCβを介することが示唆された。また、各糖濃度培養条件下におけるROS産生測定を行ったところ、DIDS処置下におけるROS産生は糖濃度依存的に上昇することが確認された。この結果は、細胞内糖濃度がROS産生に影響を及ぼすことを示唆している。
そこで、糖原病Ib患者の繊維芽細胞よりiPS細胞を樹立した。iPS細胞由来肝細胞内の解糖産物を定量した結果、グリコーゲン、ピルビン酸、乳酸、脂肪含量が健常人由来iPS細胞と比較して2-5倍増加していた。好中球分化後の細胞は、好中球表面マーカーCD13/16/45を発現し、貪食能を有していた。さらにGSDIb患者由来iPS細胞では健常人由来iPS細胞と比較して、活性酸素によるジヒドロエチジウムの酸化的発色が強まり、L-012との化学発光は2倍高値を示した。また、アポトーシス時に起こるphosphatidylserineの膜転移が認められ、caspase-3,9活性は2-3倍上昇した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HL-60細胞をDMSO処理により好中球に分化し、G6PT阻害薬を用いることで糖原病Ib型患者モデルを構築し、酸化的ストレスが高くなるのを明らかにした。そこで、糖原病Ib型患者由来の線維芽細胞よりiPS細胞を樹立、その細胞より分化誘導した好中球は酸化的ストレスが高いことが明らかとなった。これは、当初の予想を指示する結果であり、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

糖原病Ib型(GSDIb)患者では好中球細胞膜上に発現するNAD(P)Hオキシダーゼ2(NOX2)からのスーパーオキシドアニオン(O2-)産生亢進による好中球減少症を伴うことが知られているが、その機序は未だ解明されていない。そこでGSDIb患者から樹立した人工多能性幹(iPS)細胞を用いて、病態解明や治療法の検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

消耗品等の使用において差額208,847円が生じた。ヒトiPS細胞分化誘導後の解析において、一部が来年度繰越になったため。

次年度使用額の使用計画

平成27年度の助成金に平成26年度繰越金208,847円を加えるが、平成27年度はヒトiPS細胞分化誘導後の解析に加え、本来実施を予定しているモデル動物の作成などに使用する予定であり、大きな変更は生じない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] G6PT inhibition model using HL-60 cells and induction of ROS production through PKC/NOX2 activation: Clinical condition for elucidation of glycogen storage disease type Ib.2014

    • 著者名/発表者名
      Satoh D, Ohte M, Maeda T, Nakamura K, Matsunaga T
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull

      巻: 37 ページ: 534-540

    • DOI

      http://doi.org/10.1248/bpb.b13-00708

    • 査読あり
  • [学会発表] 糖原病Ib型患者iPS細胞を用いた好中球病態モデルの作成2014

    • 著者名/発表者名
      宮野百合香、大手万理子、佐藤大介、前田 徹、中村克徳、松永民秀
    • 学会等名
      医療薬学フォーラム2014/第22回クリニカルファーマシーシンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-29

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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