ユビキチン-プロテアソームシステムにおいて、E1/E2/E3酵素が連続的に作用するユビキチン修飾系は、多様な機構でタンパク質機能を調節することにより、多彩な生命現象の制御に中核的役割を果たす。そして、ユビキチン修飾系の多様な機能は、多様なE2やE3の働きにより形成されるポリユビキチン鎖の構造的多様性を分子基盤としている。本研究では、未解明な部分が多いユビキチン修飾系の多様な機能の分子基盤を解明するための分子ツールとして、K11-ユビキチン鎖の形成に対する阻害物質を天然資源から探索することを目的としている。K11-ユビキチン化に関与するE2はUBE2Sである。UBE2Sの活性は、ATP存在下に、E1、UBE2Sおよびユビキチンを反応させ、形成されるジユビキチンをSDS-ポリアクリルアミド電気泳動後のタンパク質染色で検出した。平成26年度はアッセイ系を確立したので、平成27年度は当研究室で保有する薬用資源抽出物ライブラリーを用いてスクリーニングを行った。一方、以前から確立していたK63-ユビキチン化阻害物質に対するアッセイ系を用いて新たな阻害物質の探索を継続した。
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