研究実績の概要 |
シアノバクテリが生産するSaxitoxinは麻痺性貝毒としてよく知られているが、その生産菌は限られた数種に限られる。しかしながら、分子遺伝学的研究が進んだ生産菌はさらに少数にとどまる。我々は、saxitoxin生産菌とされるシアノバクテリアAnabaena circinalisを培養した後、得られた培養液の分析によってsaxitoxinを検出することに成功した。ポジティブモードでの質量電荷比が300のイオンを選択的に観測した。多くのピークが観測されたため、MS/MS分析によるsaxitoxinのピークの特定を行った。文献に記載のある204の分子イオンでMS/MSクロマトグラムの表示した結果、RT8.4に大きなピークを検出した。そこで、フラグメントイオンの検出パターンを確認した。その結果、質量電荷比が282, 266, 258, 221, 204などのフラグメントイオンが観測され、文献値との比較したところそれらの分子イオンピークが一致した。これによって、今後、シアノバクテリアを用いたsaxitoxinの生合成研究を遺伝子破壊実験によって行う時に、目的のsaxitoxin生合成遺伝子が破壊できたかどうかの判断にsaxitoxin由来のピークの消失を重要な判断材料とすることができる。
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