本研究課題では蛋白質ライゲーションを用いて二重特異性抗体を構築することを目指している。前年度は抗EGFR VHH抗体と抗GFP VHH抗体からなる二重特異性抗体の構築に成功した。今年度はその成功に基づいて、抗体をGFPと直接融合できるか検討した。結果、二重特異性抗体と同様な手順で蛋白質のライゲーションに成功した。得られた融合蛋白質がGFP蛍光を有していることを確認し、EGFR陽性細胞を用いてフローサイトメトリーによって抗体の結合活性と蛍光を同時に測定し活性を確認した。これより二重特異性抗体の作製に用いたベクターをそのままもちいて、蛋白質ライゲーションによって抗体の蛍光蛋白質によるラベル化が可能であることを示した。 さらに、単一ドメインからなるVHHを用いた二重特異性抗体の作製に成功したことから、さらに二つのドメインからなる一本鎖可変領域(scFv)の二重特異性抗体の作製を進めた。scFvではVHHと比較して大腸菌内で凝集する傾向が強かったが、培養条件の検討を行い、効率的に蛋白質ライゲーションの起こる条件を見いだした。現在、作製した分子の機能評価を進めている。
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