ステロイド抵抗性の即時型アレルギー反応において、抗原暴露からアレルギー反応が誘導されるまでの過程を充分に説明することが出来ていなかった。近年IL-33が直接マスト細胞に結合し、即刻ヒスタミンを遊離させる経路の報告がなされ、その機構の全容が明らかにされつつ有る。そのような背景のもとIL-33阻害剤の創製に血眼がそそがれているが、現在抗IL-33薬は開発に至っていない。現状を鑑み、抗IL-33薬を創製し、それによる花粉症、喘息、アトピー、食物アレルギーの発症初期予防に役立てることを勘案し、研究を遂行することを目的としている。 抗IL-33活性のin vitro評価系を構築した。ヒト由来の好塩基球由来細胞株であるKU812細胞を用いたもので、IL-33を処理すると、IL-33依存的に濃度依存的、時間依存的にIL-5が産生する。抗ST2/IL-1R4(IL-33受容体)抗体により、このIL-33によるIL-5産生が阻害されることを確認した。IL-5のレベルをELISAにて測定することで、抗IL-33活性を評価でき簡便な評価系である。この評価系を利用し、合成した新規化合物の抗IL-33活性を評価した。検討した化合物は既存化合物と新規化合物からなる。新規化合物は、IL-33とIL-33受容体の複合体の結晶構造解析を基にデザインされ、ある種のアミノ酸を基本骨格とし、種々の修飾を施し構造活性相関を評価できる複数の化合物群となる。 その結果、2つの新規化合物においてIL-33によるIL-5産生の有意な抑制効果を示し、抗IL-33活性を示すことが明らかとなった。興味深いことに、基本骨格へのある種の化学修飾条件が抗IL-33活性と関連づけられることが明らかになった。今後、本研究で得られた情報を基に構造最適化を進めることで、更に高活性なIL-33阻害剤の開発への発展・展開が期待される。
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