研究課題/領域番号 |
26670067
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
辻 勉 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00143503)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細菌分泌タンパク質 / マトリックスメタロプロテイナーゼ / 白血球浸潤 / シアル酸 / 黄色ブドウ球菌 / セレクチン |
研究実績の概要 |
細菌感染の成立には,細菌の宿主組織への接着およびそれに引き続く浸潤が重要な過程となる.今年度は以下の2点に焦点を当て研究を進めた. (1)これまでに,黄色ブドウ球菌の産生するタンパク質であるstaphyloccocal superantigen-like protein-5 (SSL-5)が,白血球の感染局所への移動に重要な役割を果たすマトリックスメタロプロテイナーゼ-9 (MMP-9)に結合し,その活性を阻害することを観察した.今年度はSSL-5とMMP-9の相互作用に着目し研究を行った.組換え型のSSL-5をHis-tagおよびGST融合タンパク質として大腸菌で発現させ,それぞれ精製・単離した.SSL-5がMMP-9以外にも細胞膜糖タンパク質や血漿糖タンパク質と弱いながら結合することから,結合反応に糖鎖が関与する可能性を考え,白血球由来のMMP-9をシアリダーゼあるいはペプチド:N-グリカナーゼ (PNGase) で処理した後に結合を調べた.その結果,MMP-9とSSL-5との結合は,MMP-9を両酵素で処理することにより減弱することが分かり,この結合がシアル酸を含む糖鎖に依存するものであることが示唆された.MMP-9には,N-結合型糖鎖以外にO-結合型糖鎖も存在することから,結合反応に及ぼす両タイプの糖鎖の関与についてさらに研究を進める予定である. (2)セレクチン依存性の白血球接着反応に対する細菌由来分泌タンパク質の影響を調べるため,P-セレクチン/Fc融合キメラタンパク質を用いた測定系の構築を目指し,種々の条件検討を行った.今後,この測定系を活用して細菌由来分泌タンパク質をスクリーニングする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度であるため,研究に供する組換え型タンパク質やキメラタンパク質の調製の必要があり,この過程に時間を要したが,想定内に収めることができ,概ね順調に進行中である.
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今後の研究の推進方策 |
(1)今年度は,黄色ブドウ球菌の産生するSSL-5およびMMP-9の相互作用を中心に解析したが,来年度は,他の病原細菌の産生する毒素様タンパク質および標的分子として血漿タンパク質等にも対象を拡げる予定である.また,標的酵素に対する活性阻害作用および結合に関与する糖鎖分子についても検討する. (2) P-セレクチン/Fc融合キメラタンパク質を用いた測定系により,細胞接着に及ぼす細菌由来タンパク質の作用を検討する予定である.これ以外にもインテグリンが媒介する細胞接着測定法を確立するための準備を進めている.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行に合わせ,2014年度に購入予定であった試薬を2015年度の初めに購入することに変更したため.
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度には,もともと購入予定であった試薬類に加え,前述の2014年度に購入予定の試薬と合わせ研究に供する予定である.
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