2012年、印刷事業所における塩素系有機溶剤曝露に関連した職業性胆管がんの発生が社会問題となった。ハロゲン化炭化水素への大量曝露が胆管がん発症の原因であると強く疑われているが、これを裏付ける作用機序は見出されていない。本研究は、ハロゲン化炭化水素によるヒト胆管がん発症リスクの評価およびその分子機構の解明を目的として企画された。本研究により、肝臓中で生じた発がん性候補物質が胆管側膜輸送体ABCC2を介して胆汁中へ排出されることが見出された。本成果は塩素系有機溶剤への大量曝露と職業性胆管がんの発症とを結びつける重要な発見であり、今後の研究の発展が期待される。
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