研究課題/領域番号 |
26670081
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 智先 九州大学, 大学病院, 教授 (90303825)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオマーカー / mTOR阻害薬 / オートファジー / 薬剤性腎障害 / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
mTOR (mammalian target of rapamycin)は生物界に広く存在し、細胞の増殖活性を促す役割を有し、阻害薬は抗がん薬や免疫抑制薬として注目を浴びている。オートファジーは、不要タンパク質や老化ミトコンドリアの自己消化とアミノ酸の再利用を経て細胞死を免れるシステムであり、飢餓への適応とも考えられる。LC3タンパク質は、細胞内オートファゴソームの裏打ちタンパク質として知られ、オートファジー系における腫瘍タンパク質であることが知られている。従って、mTOR阻害薬は、細胞増殖活性を阻害するとともにオートファジーを活性化し、その指標とされるLC3タンパク質の産生亢進に繋がることが想定されることから、本研究では腎臓におけるmTOR阻害薬の効果指標として尿中のLC3の有用性を明らかにすることを目指して検討を進め研究第2年度では、腎臓移植患者の尿中に漏出されうるLC3がmTOR阻害薬の臨床的な効果、副作用発現とどのように関係し、どのような指標になるのかを調査する予定で開始した。当初50例の患者を解析対象としていたが、年度途中の手術症例数の伸び悩み(担当医師の退職等)のため、22例とまりであった。研究期間を1年間延長し、目標例数の達成と、結果を得る予定とすることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の計画で予定していた腎移植患者50例分の尿検体を収集し、解析する予定であったが、年度途中に担当医の退職等が重なり、22例分しか集めることができず、予定症例数に達成できなかった。昨年10月より新しい医師の着任により、腎移植治療が再開されたため、1年間の研究期間延長を持って、目標達成が可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
腎移植症例数は順調に推移していることから、当初予定していた尿中のエベロリムス漏出量とエベロリムス投与の有無、術後経過との総合的な解析を行い、尿中LC3漏出量の定量数値化が腎移植患者におけるエベロリムスの効果モニタリングの指標として有用か否かを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の計画で予定していた腎移植患者50例分の尿検体を収集し、解析する予定であったが、年度途中に担当医の退職等が重なり、22例分しか集めることができず、予定症例数に達成できなかった。したがって、次年度に収集、解析する28例分の臨床例を念頭に、助成金の次年度使用額が生じました。
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次年度使用額の使用計画 |
臨床例からの尿検体を収集する際に使用するたんぱく質分解酵素阻害薬カクテル錠、脱リン酸化反応阻害薬カクテル錠、LC3定量のためのモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、尿中のクレアチニン測定用試薬、およびこれらに用いる消耗品一式の購入費用、並びに成果発表旅費に充当する予定である。
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