研究課題/領域番号 |
26670084
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
堀江 利治 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (90120154)
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研究分担者 |
濱田 和真 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (90596884)
中埜 貴文 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (40720793)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 糖尿病 / 薬物感受性 / 特異体質性薬物毒性 |
研究実績の概要 |
本研究は、特異体質性薬物毒性(IDT;idiosyncratic drug toxicity)のリスク因子の一つである「疾患・病態」、そのうち特に生活習慣病に着目してミトコンドリア薬物感受性を高める因子を明らかにし、これを指標に検出力の高い新たな毒性評価系の開発を目指す。IDTは非臨床や治験で検出できない稀な薬物毒性であり、リスクを高感度で高精度に予測できる評価系を開発できれば新薬開発および市販後安全性の向上につながる。本年度は、研究に用いる疾患モデル動物の探索、選定に焦点を置くとともに、次年度解析するミトコンドリア機能評価系の確立に着手した。ミトコンドリア膜透過性遷移(MPT;mitochondrial permeability transition)を指標として、幾つかの生活習慣病モデル動物より単離したミトコンドリアに対して、IDTを惹起する代表的薬物を作用させて薬物誘発性MPTを評価した。その結果、肥満2型糖尿病モデル動物db/dbマウス肝臓より単離したミトコンドリアでは対照動物肝臓から単離したミトコンドリアに比べて薬物誘発性MPTが強く見られ、IDTを惹起する薬物に対する感受性が高いことが明らかとなった。ミトコンドリア障害性の強さはIDT発症の重要なリスク因子であり、病態下でその感受性が高まるという本結果はIDT発症のリスク予測を行う上で重要な知見である。次年度以降、この疾患モデル動物およびそのミトコンドリアを用いて薬物感受性を高めている因子を探索し、更に他の薬物に対する感受性の解析から毒性検出力を評価することで、疾患モデル動物ミトコンドリアが有用な毒性評価系となりうるか検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の主な到達目標である「IDTを惹起する薬物に対するミトコンドリアの障害感受性が高い疾患モデル動物を見出すこと」が達成でき、次年度以降の解析を進めるためのモデル動物が定まった。一方で当該検討に予定より時間を要し、当初計画していたミトコンドリアにおける機能評価の一部が終了していないため次年度早急に進める。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り研究を進める。本年度見出した薬物感受性の高い疾患モデル動物由来ミトコンドリアを用いて、様々な薬物に対する感受性を評価する。またミトコンドリア薬物感受性を高める因子を探索し、特にストレスとの関連性について詳細な解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品として発注した器具のメーカー製造ラインにおいてトラブルが生じ、当該製品を年度内に納品できなくなったため助成金を繰り越しすることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分は、上記器具の代替品あるいはその他、消耗品費に充てる。
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