本年度は前年度に引き続き、特に蛍光偏光相関分光装置のくみ上げと解析用プログラムの開発に注力した。 分光装置の組み上げについて、計測目的とする三者同時計測の前提となる、多チャンネルの信号の時系列データの同時取得について、教室既存の計測ボードを中心として様々な試験を行った。特に計測対象とする蛋白質複合体の場合では、反応生成の為に必要となる分子濃度が高く、一分子レベル(に近い)計測状況下においても、信号強度は明るく、その頻度はある程度高くなることが予想される。その為、高い信号火度においても計測ボードの動作が安定する様に、データ取得プログラムの修正と改善を重ねた。現段階で、装置全体として実用レベルに足る水準に到達したものと考えている。 また、蛍光偏光計測に伴う回転拡散の高速変化を検出する為には、保有の計測ボードの性能では不十分であることから、高速多チャンネルの条件下で信号取得可能な計測ボードを新たに導入した。最終的な装置とプログラム構成がほぼ確定し、組み上げと動作確認に入る状況にある。 解析プログラムについては、上述の動作安定性の向上の為の改善の他、解析における計測対象拡散時間レンジの拡大を目的として、時間レンジの短い領域と長い領域とを分けて解析した後に、両者をまとめてモデルにフィッテイングを行えるように改変することに成功した。 計測対象となる組換え蛋白質の精製、蛍光標識の効率化をはかる為、組換え蛋白質自動精製装置を導入し、条件検討を行った。
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