研究課題/領域番号 |
26670090
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
山岸 覚 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40372362)
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研究分担者 |
宝田 美佳 金沢大学, 医学系, 助教 (40565412)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | BMP阻害因子 |
研究実績の概要 |
昨年度、申請者はBMP阻害因子を基質としてディッシュ上に予めコートし、マウス由来アストロサイトであるA1細胞を培養した所、24時間後、ほぼ全てのアストロサイトがBMP阻害因子から反発するということを見出し、再現性を確認した。タイムラプス顕微鏡を用いて詳しく観察すると、エンドサイトーシスにより蛍光標識した精製蛋白質が積極的に細胞内へと取り込まれていることを見出した。すなわち、細胞外でBMPの阻害因子として機能すると思われていた分子が、おそらくBMPとは無関係に(受容体を介して)細胞内へ取り込まれていることを明らかとした。また、この反発活性はアストロサイトだけではなく、小脳顆粒細胞に対しても反発活性を示したことから、神経細胞に対しても反発性ガイダンス因子として作用することを見出した。 平成27年度は、この蛋白質がエンドサイトーシスされる経路について、細胞内小胞に対する各種マーカーとなる抗体やRab5のコンストラクトを用いて詳しく解析を行った。その結果、当該蛋白質はearly endosome、late endosomeを介して、細胞内へと取り込まれているという事が明らかとなった。しかしながら、これらの小胞とマージするものは少数であり、大多数は共染色されて来ない。したがって、early endosome、late endosomeに滞在する時間は短いと考えられる。また、脳梗塞モデルを用いた解析において、当該分子が発現上昇することが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度はBMP阻害因子が細胞内へ取り込まれるエンドサイトーシス経路を解析する予定としていた。実際、エンドサイトーシス経路を一部解明する事ができたため、順調と考えられる。また、in vivoにおける役割も解析することができた。さらには、in vivoモデルとしてマウス脳梗塞を用いた解析において、当該蛋白質が発現上昇してきていることを再現性良く観察する事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
各種抗体を用いた細胞内局在に関する解析と並行し、各種Rab蛋白質のドミナントネガティブを用いてエンドサイトーシス経路を遮断し、どの経路が重要となっているかを解析する。また、その際の反発応答性についても解析を行う。 脳梗塞モデルにおけるBMP阻害因子について、どのような細胞群が当該因子を分泌しているか、免疫染色を用いて同定を行う。また、アストロサイトが集積する事が知られている脳損傷モデルにおいて当該因子を投与し、どのような反応が見られるか、特にアストロサイトやニューロブラストの動向に注目しながら解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述した通り、エンドサイトーシス経路の同定、及び脳損傷モデルにおける当該因子の機能解明には少し時間が掛かってしまっている。したがって、継続して研究するため、研究費を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究方針で記述した通り、in vivoにおける役割を解析するため、免疫染色やin situ hybridizationにより生体内での発現パターンの変化を解析する。発生期における時間空間的な発現上昇や減少と、神経細胞移動、軸索伸長、アストロサイトの発生に対する意義を解析する。特に、脳梗塞や脊髄損傷で見られるグリア瘢痕でのアストロサイト集積時おいて、BMP阻害因子の発現上昇が関係しているかどうか、確認を行う。これらの実験で、精製蛋白質や組織化学的解析試薬の購入に使用する予定である。
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