本年度も前年度に引き続き、微小管ポリグルタミン酸化修飾のダイレクトイメージングに向け、測定条件の最適化に取り組んだ。修飾の検出限界となる微小管密度(単位積当たりの微小管量)を、実際の生体サンプルイメージング可能な水準まで下げることができず、微小管ポリグルタミン酸化修飾の未修飾ダイレクトイメージングは達成できなかった。しかしながら、研究期間全体を通じて実施してきた微小管ポリグルタミン酸化修飾の未精製直接検出については、方法論としてまとめ英文図書の一章に発表した。これまでにない簡便な微小管翻訳後修飾の手法を公表できた点は、挑戦的萌芽研究として非常に意義があったと思われる。 また、微小管翻訳後修飾の未修飾ダイレクトイメージングを適用することを想定して解析していた神経病理標本における微小管翻訳後修飾の変化についても、ダイレクトイメージングによる解析を行わずに得られたデータをまとめ、論文化に向け原稿を執筆した。これは、本研究から副次的に生まれた成果ではあるが、医学的に非常に重要な報告になると期待している。 これらに加え、前年度に探索に挑戦した微小管以上に高密度に存在するタンパク質Aのポリグルタミン酸化修飾について、ダイレクトイメージングの可能性を検証し、実際に質量分析により修飾を検出することに成功した。この成果は、新しいポリグルタミン酸化修飾ターゲットを発見した点で、今後の発展が大きく期待できる萌芽的であると考えられる。
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