研究課題/領域番号 |
26670092
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
竹本 龍也 徳島大学, 藤井節郎記念医科学センター, 助教 (30443899)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞分化 |
研究実績の概要 |
本研究では、体を構成する多様な体細胞系列が、胚のエピブラスト(胚盤葉上層)のどの領域に起源するのか、また、どういった細胞分岐によって産み出されるのかを明らかにする。申請者はこれまでの研究で、これまで重要視されてきた「三胚葉」分離が、あくまで組織の空間配置に過ぎず、最初期の細胞系列分岐ではないことを示した。 そこで、マウス胚のエピブラストの1細胞を標識して、その子孫細胞が体のどの領域に分布するのかの研究を計画した。 まず、マウス初期胚(妊娠7-8日目胚)のエピブラストを標識する方法の確立を行った。当該ステージの胚を取り出し、原条周辺のエピブラストの標識を行った。細胞の標識は、蛍光タンパク質を発現するプラスミドをエレクトロポレーション法により細胞へと導入した。導入に用いたガラスキャピラリーの先端径や、エレクトロポレーションの電圧、パルス長、パルス回数を検討することで、限定された細胞に導入することに成功した。より長期にわたる細胞標識を行なうため、Cre/loxPシステムと組み合わせて行うことで、長期細胞標識を行なうことも可能となった。細胞標識された胚を全胚培養法により培養して、ここの細胞が発生の進行とともにどのように移動し、どういった細胞系列へと分化するのかを解析した。標識する発生段階を変えることで、発生の進行とともに原条周辺の細胞集団がどのように変化していくのかを解析できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に細胞標識技術の確立を行い、平成27年度に確立した技術を活用して細胞系譜解析を行う予定であった。しかしながら、当初予定していたより細胞標識技術の確立に時間がかかった。このため、研究全体がすこし遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
確立した細胞標識法を用いて、胚の細胞標識を行う。標識した細胞が発生の進行にしたがってどのように移動して、どの胚領域の、どの細胞系列に寄与するのかを解析する。また、異なる発生段階の胚の細胞を標識して、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、平成26年度に行う予定であった細胞標識法を確立する予定であったが、再検討の必要性が生じたため平成27年度も標識法の検討を行った。このため、以後の計画に遅延が生じ、細胞系譜追跡に係る経費に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額は、当初の予定どおり細胞系譜追跡に係る費用として使用する。具体的には、マウス飼育管理費、胚培養試薬等に充てることを予定している。
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