研究課題/領域番号 |
26670095
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
菅田 浩司 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60508597)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ショウジョウバエ / 血液脳関門 / BBB / 遺伝学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ショウジョウバエをモデル系として、血液脳関門(Blood-Brain Barrier: BBB)の強度を規定する分子機構を明らかにすることである。特に、細胞内外のコミュニケーションの意義に焦点を当てて解析を進めている。前年度までの研究から、BBB の形成と機能維持に必要な遺伝子を生体レベルで探索する事に成功している。今年度は、このスクリーニングで得られた遺伝子の1つについてさらに解析を進めた。着目している分子は酵素であり、複数の基質候補分子が存在する。実際に、変異体においては、これらの基質候補分子の発現量が多くなる事を既に確認している事から、これらの蓄積が表現型を誘導する基軸となっている可能性がある。そこで、これらの候補分子について、着目する分子との関連を遺伝学的な手法を用いて解析を行った結果、その中の少なくとも1つは本分子と遺伝学的な相互作用があることを見出した。また、本変異体の機能欠失型変異体脳内では、発生過程において、特定のサブタイプの細胞が減少していることを見出した。BBB の機能維持に関連する事が既に報告されている別の遺伝子の変異体においても同様の表現型が認められることから、中枢神経系の発生における BBB の生理的意義との関連が示唆される。 今後の解析を通じて、BBB の形成・維持に関わる分子基盤を明らかにすると同時に、BBB が担うバリア機能そのものの生理学的な意義についても解き明かしていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究から得られた仮説を検証した結果、それが正しいことを示す結果を得た。また、目的遺伝子の機能から予想される関連遺伝子について遺伝学的な相互作用を解析した結果、同様に、仮説を支持する結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本遺伝子の下流シグナルとして働く遺伝子は複数存在する可能性がある。今後はこれらの遺伝子を強制発現、ノックダウンし、表現型を解析する。また、電子顕微鏡を用いた構造学的な解析がやや難航していることから、サンプル調整や解析法を検討することで改善を図る。同時に、電顕を用いた解剖学的な手法に依存しない方法で血液脳関門の構造及び強度を解析する手法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に得た結果から、平成28年度に大規模な解析が予想されたため、その人件費を確保する目的で27年度は消耗品の購入を再検討し、使用額を抑制したため。
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次年度使用額の使用計画 |
本来27年度に使用予定だった費用の大半は28年度の人件費にあてる。
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